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楽しい遊び
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平成26年度 研究報告書
平成26年度 4歳児・かもめ組 研究発表
テーマ 広告遊び
◎はじめに
『広告遊び』をテーマに、広告遊びの楽しみ方や遊び方などの変化を観察する事にした。
広告遊びを始めるとすぐに「先生、○○つくって〜」と自分でつくるという姿がなく、どうしてつくればいいのか、何がつくれるのかという具体的なイメージを持つ事も出来なかった。
そこで、月ごとに様々なテーマを決め広告紙の素材を楽しみ、子どもたちの発想やアイデアに繋がり、自分でつくる楽しさを味わってもらいたいと思い研究テーマにした。
4月 お店屋さんごっこ
食育の保育活動で広告紙を使ってお店屋さんごっこ
広告紙に掲載している食べ物を手でちぎる事から始めた。「このお肉おいしそう」「このお菓子ママに買ってもらった」など、子ども同士が会話を弾ませていた。
次にちぎった広告紙を『お魚屋さん』『くだもの・野菜屋さん』『お肉屋さん』『その他の食べ物屋さん』の4つのテーブルに分類していった。
「これは、えーっとタコやから魚屋さんかな?」と友達と相談しながら分ける姿も見られた。
選別後は、店員と客に役割を決め、お店を開店させ「いらっしゃいませ」「これください」「おいしいですよ」と会話を弾ませていた。
お店屋さんごっこ(広告紙に掲載している写真をちぎる)は、日頃の家族との買い物の経験から同じ種類の物を分ける事もスムーズに出来ていた。
普段の保育で、広告紙を切り抜き保育室に貼って身近に感じるように工夫した。

5月 広告紙を知ろう
広告紙の素材等をじっくり観察
子どもたちが気付いた事
  ・大きさが違う。
  ・広告紙の色がカラ―である。
  ・触った時の感触が紙によって違う。
  ・紙の裏が白紙の物がある。
種類別に分けられなかった広告紙をみんなでちぎり、箱の中に入れてみた。 どんどん溜まっていく箱の中の広告紙に子どもたちは「もっと溜めよう」といっぱいにする事を目標にした。箱がいっぱいになった時「これ、どうする?」と問いかけると、「紙ふぶき」の答えが返ってきた。1歳児より慣れ親しんできた遊びが、4歳児になった今でもお気に入りの様子であった。一斉に舞い落ちる紙ふぶきを何度も繰り返し楽しんだ。
今月気付いた事を踏まえてこれからの広告遊びに活かしていければと考えた。

6月 ファッションショー
祖父母保育参加参観にてファッションショー

洋服をつくる事を目的に広告遊びを始める。しかし、イメージから作品にする事が出来ず、「つくって」と保育士に言いにくる様子が見られた。「どんなものがいいの?」「何をつくりたいの?」とこちらから問うと「スカートをつくって」「ドレスをつくって」「刀をつくって」と具体的に考えているようであった。

 
遊び方
  ・セロテープやガムテープを使ってとめる。
  ・広告紙をつなげたり棒状に丸めたり球状にし、つくりたい物に真似るようにする。
  ・身にまといながらお洋服などの形を完成させていく。
  ・ステージをつくり両サイドに分かれ中央に歩く空間を設けファッションショーを行う。
 (雰囲気がでるように音楽を流す)
 
 
子どもたちは、冠をかぶりドレスのようにまといお姫様・忍者に変身・大きなリボンを作りアニメの主人公・お殿様になって腕組する凛々しい姿など、満面の笑みで花道を歩き披露する姿が見られた。
祖父母の方々もご自身のお孫さんだけでなくみんなに関わり、子どもたちのあらゆるリクエストや要望に応えて一緒に作品づくりを行う。
ほのぼのとした楽しい時間を過ごすことが出来たが、大人の補助でつくった物であった。

7月 おばけ
広告紙でおばけづくり
遊び方
  ・何枚も繋ぎ大きくする。
 (広告紙をちぎり、繋げて大きくする。穴をあけて目や口を作っていく。)
・細長くちぎった広告紙を髪の毛や手足に見立ててテープで張り付ける。
・広告紙で興味をひく部分を切り取り、一番目立つところに貼る。
・完成後、園庭にロープをはり水鉄砲で落としていく。
園庭にロープを張り完成したおばけをぶらさげた。園庭は、子どもたちのつくったおばけでいっぱいになった。「さぁ、これからおばけ退治に行こう」と水鉄砲を持って園庭に出た。
おばけを目掛けて勢いよく水を発射しながら、次々と退治し、「やった〜」と嬉しそうな子どもたちの元気いっぱいな声が響いていた。
子どもたちの豊かなイメージと発想でつくるように配慮し、夏ならではの水遊びを取り入れたことにより思いきり楽しめた。また最後の一枚が落ちた瞬間、満足そうな笑みを浮かべていたのが印象的だった。
 
   
おばけのイメージが個々によって違うために、個性的なおばけとなった。4月は広告紙の平面使用・5月は素材について学び・6月は広告紙の立体と行ってきた。
この事は、水をかけた時に広告紙の素材によって違う事や立体的なおばけは強い事等も知った様であった。

8月 棒を組み立てて立体作り
広告紙をくるくる丸めた棒状の物で立体づくり
 
棒をたくさんつくり、「この棒どうする?」と問いかけると「つなげようよ」とアイデアで 長く繋げて組み立てた。
「これもつなげよう」「ここ持ってて」と子ども同士で協力し合う姿が見られた。 いつの間にか大きな立体になり「なんだか船みたい」と見立て遊びになり、保育士が「旗があ ってもいいね」の言葉に「つくろう」と船の前の部分をつける事になった。
完成すると「やったー」と歓声があがり、子どもたちはワクワクしながら「乗ろうよ」「○○ ちゃんおいで」と、早速みんなで船に乗り込み航海に出発した。
「大きな波がきたよ」「サメがきたよ」と声が聞こえると「キャー」と歓声があがりごっこ遊 びに展開し楽しんだ。
遊び方
  ・広告紙をくるくる丸めて棒状にする。
・ガムテープやセロテープで繋ぐ。
・子どもたちの発想を大切にしながら、曲げて組み立てて立体にする。
今までは自分の物をつくる個々での作業が多かったが、今回の取り組みで友達と協力してつくることを楽しむ姿がたくさん見られた。

9月 丸めて遊ぶ
丸めた大小様々なボールで立体物をつくる
 
広告紙を何枚も重ねて硬くしたり、顔ぐらいの大きな物をつくったりと、それぞれに考え形や硬さを工夫する姿が見られた。
たくさん出来たボールを積み上げ競争に発展した。また、大きな布に乗せ、みんなで布の端をもち転がすなどいくつもの遊びを展開して楽しむ事が出来た。
今月は、運動会もあり勝敗に対してとても意識が高まっていたので負けたチームは何度も「もう1回しよう」と意欲的に遊びを進めて楽しんでいた。
遊び方
  丸めて大小様々な大きさ、硬さのボールをつくる。
  積み上げた高さを競い合う。
  2チームに分かれてたくさんつくったボールを前列の子どもから最後の子どもまで送り、どちらがたくさん送れるかなどボール送りゲームをする。
 
   
 
同じ形の物をつくり(丸物)重ねる事でより立体になる事、ゲームの遊びになる事を知った。

10月 洋服作り
自由な発想で洋服づくり
子どもたちの自由な発想で洋服や帽子などの被り物、リボン・ネックレスなどの装飾品をつくった。以前よりも「あんな形にしたい。こんな飾りをつけたい」とイメージがはっきりし、より具体的で、そのイメージを少しずつ形にしていく楽しみも出てきていた。
すずらんテープやビニール袋、折り紙、両面テープ、ガムテープを使用することでつくり方の幅もどんどん広がり一人ひとりが個性的な物を完成させた。
  広告紙に細長い切り込みをたくさん入れヒラヒラにする。
  広告紙で小さいボールをたくさんつくり、繋ぎ合わせてネックレスにする。
  広告紙をハサミで切り模様をつくる。
  広告紙に掲載されている好きな写真を切り取り、服の模様にする。
じゃばら織にしてリボンを飾るなど、子どもたちのアイデアがたくさん詰まっていた。

11月 棒を使って
棒をつなげて迷路づくり
くるくると丸めてつくる『棒』の手つきもスムーズになり硬い棒をつくるには細く丸めていき、広告を重ねて巻けばもっと強い棒が出来るなど様々な発見をしながら工夫して楽しんでいた。あっという間に出来たたくさんの『棒』で今回は巨大迷路作りを行った。棒を並べながら道をつくり「ここは行き止まりにしよう」「ゴールはここでいいかなぁ」とクラスみんなで協力し、お部屋いっぱいに巨大迷路が完成した。いざ通ってみると行き止まりばかりでゴールに到達せず一回目は失敗に。これではだめだということで「ここはつなげておかないと」と、相談しながら道を増やし迷路を完成させていた。自分たちでつくった迷路は格別楽しかったようでコースをかえながら何度も繰り返し楽しむ様子が見られた。

12月 ミュージックフェア
広告でつくったものを使ってごっこ遊び
日頃から楽しんでつくってきた広告紙の作品を用いて、ミュージックフェア(公開保育)ではごっこ遊びを行った。広告紙でつくった洋服を身にまとい、広告紙のほうきで掃除をしたり舞台のあちらこちらに広告紙でつくった置物を設置した。
話の中の登場人物である時計さんの壊れたお家を完成させるために、丸めたものを積み上げたり、棒状にして組み立てたり、貼り付けるなど楽しんで取り組む姿が見られた。
ミュージックフェアが終わり、使用したものをお部屋に置いておくと家の窓から顔を出し「家族ごっこ」で楽しんでいた。また、掃除ごっこをするなど自然と広告紙が遊びのアイテムになっていた。

1月 張り子
広告紙を使って鬼のお面づくり
新聞紙・広告紙を使って『張り子』を行い、鬼のお面づくりを行った。
膨らませた風船に小さくちぎった新聞紙を何層にも重ねて貼っていく。2、3日乾かした後、風船の空気を抜き球型になっている張り子を半分に切った。1枚だとペラペラの紙が何層にも貼り重ねることでカチカチになることを知る。新聞紙や広告紙のいつもと違った使い方に興味津々の子どもたちであった。オリジナルの素敵なお面が完成した。

2-3月 つないで遊ぶ
広告紙をつなぎ合わせて遊んだ。友達と協力してより長くする中で「線路みたい」「迷路みたい」と様々な想像を膨らませ、形になることを楽しんでいた。つながった広告紙の道を4か所からスタートし、友達と出会ったところでジャンケンをする。勝った友達が前へ進めるというルールを決めて遊んだ。
その後、長くつないだ広告紙の道と道を貼り合わせ1枚の巨大広告紙を作った。
パラバルーンのように膨らませたり、持つ子と中に入る子を決め、扇いで風をおこして遊んだ。また「大きなお布団みたい」「お昼寝しよう」と布団に見立ててお昼寝が始まった。
その後、「鬼が来た、隠れろ〜」と、かくれんぼが始まるなど子どもたちの発想で様々な遊びに展開していた。
最後にはビリビリに破り、お片付けまで遊びとして楽しんでいた。

◎まとめ
4月当初の広告遊びではつくりたいものを形にする過程のイメージが持てずに「先生〇〇つくって」とつくってもらおうとする姿が多く見られた。
しかし『広告遊び』をテーマに毎月様々な取り組みを行ううちに「ここをこうしたいから手伝って」と、子どもたちの様子に変化が見られる。棒を作る様子ひとつをとってもその成長はよくわかり手つきが変わってきた。
(4月当初)
 
(3月当初)
   
細くて硬い棒をスムーズにつくることができ、その後も広告紙を組み合わせて色々な形に変化 させながら完成したもので遊ぶことを楽しんでいた。
丸める、棒にする、組み立てる、破る、折る等の様々な作業の方法を知ると、自分のつくりた いものをイメージし、自分たちだけでも形にしていく過程を楽しむことができるようになって きた。友達と協力してつくる楽しさも感じているようであった。
自由遊びの時間があると進んで広告遊びをするほど大好きな遊びのひとつになっていた。
広告遊びと言っても遊びの幅はとても広く、そこに子どもたちのアイデアが加われば遊びは無限に広がっていくことを感じた。そして広告遊びを一緒に楽しみながら、子どもたちの成長を見守ることも出来た。