HOM ≫研究発表・H23≪ひよこ・1歳児≫
楽しい遊び
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平成23年度 研究報告書
平成23年度 1歳児・ひよこ組 研究発表
テーマ 『様々な遊びと成長』
 
◎はじめに
 
1歳から2歳になる1年間は、歩けるようになり行動範囲が広がり、言葉が増え、大人の言っている事を理解出来るようになり、とても成長が著しい時期です。
近年、体力・運動能力の低下し、その原因として、動きのある遊びの経験不足ともいわれています。そんな中、自然散策・お散歩等で、遊びの展開を通じて、園周辺の自然に積極的に触れ様々な様子を五感で感じ、体力づくりを主に取り入れています。
更に、集中力も少しずつつきだし、友達との関わりも出てきて遊びの幅も広がってくる中、様々な遊びに取り組み、どのような子どもの姿が見られたかをまとめました。
≪T期 4月〜8月≫
  ・身の回りに対する興味や関心を大切にしながら、一人遊びを充実させる
  ・保育士に親しみ、安心して過ごせる関係をつくる
【取り入れた遊びと子どもの様子】
園庭遊び(砂場・滑り台・お山・追いかけっこ遊び)
好きな玩具を手にして、砂の感触を楽しみながら砂遊びをする。
滑り台やお山など高い所へ行き自分がいる事をアピールする。
「まてまて〜」と追いかけられたり、捕まえられることを楽しむ。
運動遊び(クッションマット・ウレタンブロック)
ジャンプ力はないがクッションマットの上を飛び跳ねる。周りの少しの振動で横転する。
ウレタンブロックの上を保育士に援助されながら渡るが止まり、その場に座ろうとするなど恐怖心から進む事が出来ない。
 
シール貼り
・指先を上手く使ってシールをはがす事が出来ず時間がかかる。
・試行錯誤しながら手にひっついたシールを画用紙に貼ろうとする。
・思うようにいかな事もあり、すぐにやめてしまう。



小麦粉粘土
粘土になっていく過程を見て興味を示す
粘土に触れる事を恐れ嫌がるが、慣れてくると感触を楽しむ。
ふれあい・わらべ歌遊び(お座りやす・貨物列車・お船はぎっちらこ等)
・歌や言葉に合わせて体を動かせようとする。
・繰り返し、しようと保育士に欲求する。
【感想】
子どもが取組んでいる遊びに保育士が共感し、一緒に遊ぶ事で、それぞれの子どもの興味・感心をより知ることが出来た。そこから、子どもと保育士との関係も深まっていき、信頼関係が築けた事から、安心して好きな遊びを見つけ、保育士と一緒に遊びに取り組み、興味のある遊びに少しずつ自分から取り組もうとする姿が見られるようになる。一人遊びも十分に楽しむ。
 
≪U期 9月〜12月≫
  ・ごっこ遊び、見立て遊びができる
  ・摸倣遊びをすることを楽しむ
【取り入れた遊びと子どもの姿】

園庭遊び(T期の遊び+かけっこ・フープ・カラーボール)
・型抜きや地面に絵を描く等、保育士のしたことを真似る。
・滑り台やお山など高い所からの上り下りを繰り返し楽しむ。
・「よーいどん」の掛け声でゴールをめがけて走り出す。
・フープを繋げ、並べた上を跳ぶなどして跳ぶ力を身につける。
・カラーボールを手あたり次第に投げる。


運動遊び(T期+運動棒・平均台・鉄棒・運動会ごっこ遊び)
・クッションマットからクッションマットへ跳ぶことができる。
・自分の力でウレタンブロックの一本橋を渡り切れる。
・運動棒や平均台の上を保育士に援助されながら渡るが、バランスを崩して上手く渡れないことが多い。
・鉄棒にぶら下がることができる。
・大きい子がしていたパラバルーンに興味を示し、大きめのシートで同じように遊ぶ。
 

シール貼り
・はがす事もスムーズに行えるようになり一人でシールをはがして画用紙へ貼る事を喜ぶ。
・納得のいくものが出来ると、満足げな表情を見せ、出来た事を伝える。

ふれあい・わらべ歌遊び(T期の遊び+洗って洗って・ぜんぜがのんの等)
・簡単なフレーズを一緒に歌う
・積極的に布を取りに行って遊びに参加しようとする。(小さな布・大きな布等準備)
・屈伸運動や腕の曲げ伸ばしなど全身を使って、達成感を味わう。
 

小麦粉粘土
・保育士が作るものを真似て同じものを作ろうとする。
・つくったものを何かに見立てて遊ぶ。

知育遊び(型はめ・ひも通し)
・回転しながら型にはめられるように試行錯誤する
(丸、三角、四角など簡単な形と向きを理解する力が育ってきた。)
・ひもを上手く通せなくて、通すものを指にはめて楽しむなど違った遊びをする。
 
【感想】
この時期の子どもはどの遊びにも長時間夢中になって遊びを楽しむ姿が見られた。
U期ではシール貼りや小麦粉粘土を使った遊びから手先が少しずつ使えるようになってきたので、知育遊びも取り入れた。保育士が知育遊びをする姿を見て、子どもは真似をしつつ援助されながら、知育遊びに取り組んでいた。友達との関わりは少ないが、少しずつ他児のしている事に興味を示し同じ事をしようする“平行遊び”が多く見られるようになる。
 
≪V期 1月〜3月≫
  ・友達との関わりを楽しむ
  ・積極的に遊びに参加する
【取り入れた遊びと子どもの様子】

園庭遊び(U期の遊び+かくれんぼ・しっぽとり・自然遊び)
・滑り台やお山など高い所から保育士や友達の名前を呼び一緒にすることを楽しむ。
・これまで個々に遊んでいた砂場遊びも、みんなで一つのお山を作ろうとするようになる。
・手当たり次第に投げていたカラーボールがV期では的をめがけて入れようとするようになる。
・集団での遊びや簡単なルールのある遊びを喜び、遊ぶ。
・雨上がりの園庭に出て、水たまりを感じながら避けて園内探検をすることで普段の園庭とは違った園庭を経験し、興味や関心をもつ。
 

運動遊び(U期の遊びと同じ)
・バランスを取りながら運動遊びに取り組む

シール貼り
・シールに絵描かれたものを見て楽しみながらシール貼りをする
・手元にシールがなくなると、欲しいという気持ちを言葉で表す

小麦粉粘土
・指先を使って、ちぎる・重ねる・こねる等楽しむ。
・見立て遊びから見立てたものを保育士や友達と共有するようになる。
 

ふれあい・わらべ歌遊び(U期の遊び+ひらいたひらいた・むっくりくまさん・なべなべ等)
・ふれあい・わらべ歌遊びと知ると、友達と手を繋ぎにいこうとする。
・保育士や友達と出来たことを喜び拍手などして分かち合う。

知育(U期の遊び+パズル・絵合わせ)
・ひも通しでは指でなくひもに通せるようになり遊び方も分かってくる。
・腕と指先をコントロールする力が発達し、長い時間集中する力も備わる。
・友達と同じものを使って遊び、友達のしている様子を伺う。
・形を見ながら絵合わせや簡単なパズルをはめ込む。
 
【感想】
ひとり遊びから、V期では少しずつ保育士や友達と同じ事をして喜び遊べるようになり、誘い合いながら友達と遊ぶ楽しさを感じ始めている様子。また、成長に応じて少しずつ遊びに変化が見られるようになり、T期、U期、で少しずつ発展させていくうちにV期では出来るようになる事も多く見られた。
 
◎まとめ

4月当初は、担任保育士との関係もまだ出来ていなかった事もあり様々な事に興味は示すが様子を見ているだけの事も多かったと思います。
子どもの思いに寄り添いゆっくりと関わる中で子どもと保育士の中で信頼関係が生まれ、情緒的に安定した所から、少しずつ周りのものに興味を示し、自発的に好きな遊びを見つけ積極的に取り組む事が出来るようになりました。

まずは大人との関係が出来たからこそ、それぞれが安心して自分の好きな遊びを見つけて遊びこめるようになったのだと思います。
更に様々な遊びに興味を示して取り組む事で遊びの幅が広がり、そこから自分以外の周りの存在にも気がつき一緒に過ごす楽しさを感じられるようになってくるなど、遊びや日々の生活の中で段階を踏んで著しく成長している姿が見られました。
もちろん同じように遊んでいても、個々によって遊び方や感じ方は違います。
その中でいかにそれぞれの成長に合わせた遊びを提供し、展開していけるかという事が大切だという事に改めて気がついたと共に、そのあたりの援助や配慮をもっと計画的に進めていかなければならなかったとに気がつきました。

これから2歳児クラスに進級します。
言葉での表現や友達との関わりも増えてくる事で、遊びの幅も更に広がってくると思います。
繰り返し遊んだ充実感を基盤として、それぞれが新しい事へ挑戦して、更に自発的学びに繋がっていくよう、発達や興味にあった遊びを引き続き取り入れていきたいと思います。