HOM ≫研究発表・H27≪はと・5歳児≫
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平成27年度研究記録・・・

平成27年度 はと組研究発表

 テーマ:『目的をもった栽培』

◎はじめに

年長児になって行事や体験が今まで以上に幅広くなり、様々な活動を経験する中で、身近な植物に親しみを持ち、栽培する楽しさや大切にする気持ちを育んでいき、育てたものを活かしていきたいと思った。
日々の生活の中で、目的を持って植物を育てていきたいと思い、「目的をもった栽培」を研究のテーマに取り上げた。

(研究内容は一部省略している)
 
〇夏野菜の栽培
5月15日 苗を購入する
野菜の苗(トマト・オクラ・ピーマン・インゲン豆・サツマイモのツル)を片道徒歩約30分かけ買いに行った。
育てる野菜だけでなく、お店にある他の野菜の苗にも興味を持ち観察していた。お店ではトマトを空中栽培していて、子どもたちが興味を持ち挑戦する事になった。
     

〇野菜を収穫する
収穫する日を心待ちにしていた子どもたち。順番に収穫をし、野菜を手に取ると、感触・匂いなどを肌で感じる様子が見られた。「オクラに毛が生えている」など様々なことに気付き、周りの友達や保育士に嬉しそうに知らせていた。
 

○クッキング(ピザ作り)

 
〇サツマイモの苗を植える
5月15日 第五中学校の畑に苗を植える
野菜の苗とは植え方が違い、保育士の話をしっかりと聞いて取り組んでいた。

7月6日 挿し木にする
育った芋ヅルの先を切ると、「枯れてしまうのでは」と不安に思う子どもたちだったが、土に植えると再びサツマイモが育つという事に、驚いていた。
 
9月 ツルが成長する
第五中学校の校庭でのランニングに行った時に水をあげ、成長を観察した。
ツルが随分と大きく育ち、畑一面に広がった。
ツルの下をのぞいた時、さつまいもが少し顔を出しているのが見え、「早く芋掘りしたいー」と楽しみにしていた。

10月6日 芋掘り
ツルを思いきり引っ張るがなかなか抜けず、友達と力を合わせて引っ張った。
また、葉やツルの様子、掘った芋の大きさや重さを比べ、見せ合っていた。
次々と掘り、自分たちで掘った喜びを味わう事が出来た。また、大きな芋を掘った子どもは、達成感を味わった様で、持ち上げて皆に見せるなど、とても嬉しそうだった。
 
10月16日 芋ヅルを使ってリース作り
リースを作るため、葉っぱを取ってツルを丸くなるよう編んでいった。なかなか思うような形にならず、悪戦苦闘しながらもうまく形を作っていた。作ったリースにフェアリーキッズやお散歩で拾ったどんぐりや葉っぱで可愛く飾付けした。

10月22日 クッキング(スイートポテト)
・給食室でふかしてもらった芋の皮をむき、ボールの中でつぶし、バター、砂糖、豆乳を入れて混ぜた。
 
・芋をつぶす人、ボールを押さえる人など自分たちで担当を決め順番に行っていた。
・「いい匂いしてきた」「早く食べたい」とスプーンを使って、アルミカップに入れながら出来上がりを楽しみにしていた。
・完成したスイートポテトは3時のおやつで食べた。
「おいしい」「もっと食べたい」と友達と話を楽しみながら美味しそうに食べていた。
 
〇綿の栽培
4月21日 綿の種を取る
・第五中学校から頂いた綿から種を取り出していく。
種の周りにできるだけ綿が残らないように外す。
・種の周りの綿はなかなか取れず、苦戦していた。

5月18日 種を植える
・プランターに種を植えるところに穴をあけ植えていく。たくさん種があったが、あっという間に植えていた。
・子どもたちも少しずつ変化していく様子をじっくり観察し、「芽が出てる」「前より大きくなってる」など日々新たな発見をしていた。

7月 第五中学校の畑に植え替える
・大きく育ってきたのでプランターから第五中学校の広い畑に植え替える。
 
9月 花が咲く
・ピンクと白の花を咲かせ、子どもたちは「綿のお花ってきれいなんだね」と匂いを嗅ぎ、綿が出来るのを待ち遠しそうにする。
 
 
10月 綿の実が育つ
・花が落ち、そこから大きな実が育った。実は固く子どもたちは「これがどうやって綿になるの」とまだまだ不思議な様子で、保育士が言葉で説明しても理解出来ない様子であった。
・実が弾けて中から白い綿が顔を出し始めた。実際に綿ができる様子を見て「こうやって綿ができるのか」と納得していた。
 
12月14日 綿を収穫する
・綿がしっかりと開いたので収穫する。
思った以上に綿の茎は固く、苦戦しながらもハサミで切り収穫した。
・「フワフワで気持ちいい」と何度も綿を触り、「この綿を紡いで何を作ろうか」と楽しみにしていた。
 
1月6日 収穫した綿から種をとる
・種や葉っぱのクズなどのゴミを取り除く。
たくさん綿が収穫出来たので、種などを取って綺麗な綿にするという作業を、日々楽しみながら少しずつ行った。

2月 綿を紡ぐ
・始めは「難しい…」「出来ない…」「すぐ切れる…」と言っていた子どもたちだったが、毎日続けていると指先をうまく使って細い糸が出来るようになってきた。
・お雛様製作の飾りつけにも綿を使う。
 

3月 紡いだ糸を使って製作する
・綿のみで紡いだ糸は少し引っ張るとすぐに切れてしまった。この糸を使って製作する事は難しいので、タコ糸のような細い糸に綿を巻きつけて糸を作った。
・指先を器用に動かしながらうまく巻きつけていき、糸を作る。
・縦糸には毛糸を使用し、綿が外れないように気をつけながら編んでいく。
・出来上がると「コースターに使おうか」「ランチョンマットにしようか」と嬉しそうに話していた。

 
 

◎まとめ

色々な植物を栽培し、成長する一連の流れを知り、様々な事を発見する事が出来た。
空中菜園では新しい菜園活動を身近で学ぶ事が出来、たくさんの不思議と驚きを感じる事が出来た。また、ただ育てるだけではなく、目的をもって取り組む事で子どもたちの意欲や好奇心を育みながら取り組めた。サツマイモの挿し木にも初めて挑戦してみたが、挿し木した苗が少しずつ元気になり、苗が緑を取り戻しどんどん育っていく様子に子どもたちは植物の生命力を感じた。ツルでリースを作り、また2歳児クラスの染め物遊びで芋のツルでハンカチを染めた。子どもたちと一緒に新しい事にも挑戦し、「どうやったら出来るかな」「うまく出来るかな」と考え、試行錯誤しながら活動を進めていく事で、子どもたちの植物への関心が高くなってきた。製作をする際には、保育士が「どのようにすれば、子どもたちが作る事ができるかな」と考えていると、「なにしてるの」と子どもたちも興味を持ち、「私もやってみたい」という意欲に繋がっていった。

保育園で初めての『綿の栽培活動』で、第五中学校から頂いたまごころの種を大切に育て植物の不思議をいっぱい子どもたちは学んだ。綿を糸にする事が難しく、糸にする道具にも挑戦してみたが、子どもたちが根気よく指先で糸にする方が、綺麗に出来上がった。今になれば、綿を草木染にしたり、糸にする道具の研究ももっと挑戦すればよかったなど反省点もある。綿の種は大切にお部屋の隅で、春になって暖かくなるのを心待ちにしている。次の5歳児クラスが綿の種に新しい命をふきかけ、『綿の栽培活動』がいつまでも続いていけば嬉しく思う。