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平成27年度研究記録・・・
平成27年度 ひばり組研究発表
 テーマ:『運動棒』
 
■はじめに
つばめ組の頃より“運動遊び”に力を入れて取り組んでいたクラスという事もあり、引き続き、運動遊びをテーマに取り組んでみようと思った。
様々な運動遊びの中で、今回は“運動棒”に取り組む事にした。
“運動棒”を取り組むにあたって、運動能力だけでなく、集中力・話を聞いて行動に移す力など様々な面での成長する姿を見ていった。
 
■年間計画
前 期
4月 5月 6月 7月
・両足ジャンプ
・二本道をクマ歩き
・連続両足ジャンプ
・二本道(離して)を歩く
・グーパージャンプ
・三本道を歩く
・グーパージャンプ
・三本道を歩く

中 期
8月 9月 10月 11月
・二本重ねジャンプ
・二本道を歩く
・二本重ねジャンプ
・二本道を歩く
・手を持ってもらい一本道を歩く
・二本道を歩く
・手を持ってもらい一本道を歩く
・一本道を歩く(1本)

後 期
12月 1月 2月 3月
・二人で手をつないで向かい合って歩く
・一本道を歩く(1本)
・二人で手をつないで向かい合って歩く
・一本道を歩く(2本)
・二人で手をつないで歩く
・一本道を歩く(2〜4本)
・二人で手をつないで歩く
・一本道を歩く(2〜4本)

■前期
□取り組んだ内容
4月 5月
・取り組みできず ・連続両足ジャンプ(10本)
・三本道を歩く
・二本道(離して)を歩く
・二本道を歩く
6月 7月
・連続両足ジャンプ(10本)
・グーパージャンプ(縄跳び使用)
・三本道を歩く
・二本道(離して)歩く
・グーパージャンプ(縄跳び使用)
・グーパージャンプ
・二本道を歩く
・一本道を歩く

□子どもの様子
<5月>
・初めての取り組みは、つばめ組の時に行っていた連続両足ジャンプをする。
両足をしっかりと揃えて跳ぶよう見本を見せ取り組むが、両足を揃えて跳ぶ事ができていたのは半数ほどで、中には両足で跳べず保育士の支えを必要とする子もいた。

・運動棒の上を歩くという初めての取り組みでは、恐怖心を持たないよう、三本をくっつけて幅の広い道を作る。両足でしっかりと乗るスペースがあるため、運動棒から落ちることなく、ゆっくりと進んでいた。
手を広げてバランスをとるよう伝えるが、足元にしか集中できず、手を広げて歩く子はいなかった。

・自分が取り組む時は、楽しみ意欲的に行っているが、自分の番が終わると雑談や遊びが目立ち、列に並んで待つという事ができなかった。
そのため、目で見て並ぶところがわかるように床に縄で線を引き、そこに座って並ぶよう伝える。そうすることで線から出ないようになり、線から出ている子がいると月齢の高い子が声を掛ける姿も見られた。
 
<6月>
連続ジャンプは、運動棒以外の運動遊びも毎週取り組んでいるため筋力が少しずつついてきているのか、両足をそろえて跳べる子がぐっと増え、両足がバラバラになってしまう子が数名となる。

グーパージャンプは、運動棒を使用して行う予定にしていたが実際に行うと運動棒の高さに足が当たり上手くできなかったため、急遽縄跳びに変更する。縄跳びにすると高さもなく恐怖心がなくなり、連続で「グー・パー」ができていた。

三本道は、手を広げて歩く事が少しずつ身につき、また足の指で運動棒をつかもうとする姿も見られるようになってきた。
 
<7月>
二本道を歩くは、自分で乗って進めるようになり落ちないように集中して取り組めるようになる。しかし、並んでいる時から他児とふざけている子は、運動棒の上でも落ち着きがなく、すぐに落ちたりふざけて落ちて笑って楽しんだりという姿が見られた。
ふざけて笑っている子がいると、それを見て一緒にふざけて楽しむという悪循環もおき、注意が必要な場面が多々あった。

縄跳びでのグーパージャンプは、高さがなく踏んでも痛くないということから足元を見ず跳ぶ子が出てきて、縄を踏んだり、違う所でグーパーしていたりした。
そのため、一回ずつ「グー・パー」と声をかけながら止めて行うことで、縄を踏まずできるようになる。縄跳びから運動棒に変えても、同じようにする事で運動棒でもグーパージャンプができる子も増えていた。
 
・前期の取り組み最後という事で、一本道も取り入れてみる。
一本の運動棒の上に乗るという事が難しく、一歩目を乗せて、二歩目を乗せるので精一杯の様子だった。
 
■中期
□取り組んだ内容
8月 9月
・連続両足ジャンプ(5本)
・二本重ねジャンプ
  (1本目を2段、残り4本は1段)
・二本重ねジャンプ
  (2段、1段、2段、1段、1段の5本)
・二本道を歩く
・一本道を歩く
・連続両足ジャンプ
・二本重ねジャンプ
  (2段、1段、2段、1段・・・の交互に置く)
・二本道を歩く
10月 11月
・二本道を歩く
  (2本をピタリとくっつけ一本の道にする)
・一本道を歩く
・二本道(離して)を歩く
・手を持ってもらい一本道を歩く(2本分)
・手を持ってもらい一本道を歩く(12本分)
・一本道を歩く(2本)

□子どもの様子
<8月>
二本重ねジャンプは、全てを2段にしてしまうと体力的にも難しいと思ったため、先頭だけ2段にして行う。子どもたちに何も言わなくても、2段を跳ぶ前には自然と1段よりも膝を曲げてしっかり跳んでいた。高さがある分数名は足がバラバラになって跳んでいたが、跳び越える事は全員できていた。

二本道を歩くは、足の指に力を入れて踏ん張る姿が見られるようになり、意識してバランスをとろうとするようになる。

一本道を歩くは、先月は二歩目を乗せるのが精一杯だったが、三歩目の足が出る子も出てきて、「一本道を歩けた。」と喜ぶ姿も見られた。
<9月>
両足ジャンプは、「両足で跳ぶ」という事が身につき、意識して跳んでいるが、一つ跳んでから二つ目を跳ぶまでに間があるため、テンポよく跳ぶように促す。見本を見せた事で全員が意識的にテンポよく跳ぶようになった。

・並ぶ列は縄跳びで線を引かなくても壁際に並べるようになるが、隣の子と話したり周りにある玩具で遊んだりと前が進んでいても気づかない子が多い。声をかけて促すと前に進みしばらくは上手に並んでいるが、時間が経つと雑談や遊びが始まり同じ事の繰り返しとなる。並んで待つ時間が少なくなるよう、運動棒(できる列)を増やすがあまり関係なくその都度注意が必要となる。

二本道を歩くは、早く行こうとしたり、ふざけたりと何度も落ちる子が目立った。全体で取り組むのではなく、二人ずつ行うようにし周りの子は座って見るようにした。みんなに見られているという意識もあり、集中して取り組み落ちないようになる。
 
<10月>
二本道を歩くは、運動棒同士をピタリとくっつけた道のため、今までの二本道より細くなっていたが、運動棒の上を歩くという事に慣れ、また集中して取り組めるようになってきているため、バランスをとって落ちずに歩けていた。

一本道は、3〜4歩目が出る子が多くなり、1本だけ置いての一本道は渡りきれる子が3〜4人出てきた。
 
<11月>※11月の取り組みは、11月にできず12月入ってすぐ行う。
・前回の取り組みより一ヶ月以上空いてしまったため二本道(離して)を歩く事をはじめに行う。久しぶりであったが、二本道はスラスラ歩けるようになり、表情にも余裕が見られた。
 
手を持ってもらい一本道を歩くは、二人ペアになり、一人は棒の上、もう一人は棒に乗らず手を支えるという形で取り組む。フラフラし安定はしていないが、相方に支えてもらいながら2本分渡りきっていた。

・次に同じ要領で、12本分の道を歩くようにする(落ちたら最初からやり直す)。
支える側に力がなかったり、歩くスピードが早すぎたりと始めは最後まで渡りきれる子がいなかった。どのように手を繋ぎ、どのように進めば良いかみんなで考え伝える事によって、笑ったりしゃべったりせず集中して取り組むようになり、最後まで渡りきる子が出てきた。
最後まででき喜んでいる姿を見て刺激を受け、できていなかった子も必死に取り組むようになり、次々とクリアできる子が出てきた。中にはどうしてもクリアできない子もいたので、ペアを代えて行い、全員がクリアできるようにし、みんなクリアした事を喜び合った。

一本道は、2本分だが3〜4人が渡れるようになる(毎回ではない)。
 
■後期
□取り組んだ内容
12月 1月
・二本道(離して)を歩く
・一本道を歩く
  (二人で手を繋ぎ向かい合って歩く)
・一本道を歩く(1~2本)
・一本道を歩く
  (二人で手を繋ぎ向かい合って歩く)
・一本道を歩く(1本)
2月 3月
・一本道を歩く
  (二人で手を繋ぎ前を向いて歩く)
・一本道を歩く(3本)
・二本道(離して)を歩く
・一本道を歩く
  (二人で手を繋ぎ向かい合って歩く)
・手を持ってもらい一本道を歩く(12本)

□子どもの様子
<12月>
・5月から取り組んでいる二本道(離して)を歩くに余裕が出てきている為、集中して行う事が疎かになっている。取り組む前に“落ちないように渡り切る”事を伝える事で、ふざける姿も見られず、意欲的に行えた。

二本の運動棒をくっつけた一本道を、二人で手を繋ぎ向かい合って歩くは、二人組になって一本の棒に一人ずつが乗り、向かい合って手を繋ぎ
カニ歩きで進む。初めての取り組みの為、難しくてすぐに落ちてしまう事から笑ったりふざけたりする子どももいたので、一組ずつがみんなの前で取り組むようにする。
みんなに見られているという意識を持って行えており、真剣な表情が伺える。集中する事が出来た為、三組が渡り切る事に成功する。

一本道(1〜2本)は、“落ちないように渡りたい”という思いを持って取り組める子どもが増えている。その中で3人の子どもが落ちずに2本分を渡りきれた。
 
<1月>
・先月同様、一本道を二人で手を繋ぎ向かい合って歩く。最初は二本の運動棒をくっつけた一本道をしっかりと歩けるように取り組む。二本をくっつけた太い一本道になっているので、安定して渡る事が出来ていた。

・次に、二本くっついていた運動棒を一本にして行う。
二人ペアになっている為、相手のお友達と笑い合い、中にはわざと運動棒から落ちたり転んだりする姿が見られる。
集中が途切れてしまったので、みんなの前で二組ずつ取り組む。
見られている緊張感から再び集中を取り戻す事ができた。
集中する事で落ちずに渡り切る事ができるペアが増えた。また、みんなで他のペアの取り組みを見て、良い点・悪い点を見つけるようにする。そこで気づいた点は、自分が取り組む際には気を付けようとする姿が見られた。
 
一本道を歩くに取り組む。どうしたら落ちないで渡り切れるのかを子どもたち自身が考えるようになる。何度か取り組む中で、自然と両手を広げバランスを取ろうとしたり、足の指で強く棒を掴もうとする様子が見られる。
 
<2月>
一本道を二人で手を繋ぎ前を向いて歩くに初めて挑戦する。お互いに体重を掛け合いバランスを保とうとするが、一人が棒に乗ったら一人が棒から落ち、反対に落ちた子どもが棒に乗ったらもう一人が落ち、それを繰り返す。その中で1組は渡り切る事に成功する。

・一本道を3本繋ぎ合わせ、長い一本道を作る。今まで取り組んできた中で一番長い一本道となり、子どもたちも“やってみたい”と意欲的に取り組もうとしていた。他児の取り組む姿を見て応援する姿も見られる。見ている子どもたちが静かにする事で緊張感を持ち集中して取り組めていた。渡り切れた子どもはいなかったが、途中で落ちても諦める事なく、そこから再出発して最後まで歩くようになっていた。
 
<3月>※3月での取り組みは、2月のおおぞらウィーク(保育参加参観)で行う。
・一年間の取り組みを保護者にも見てもらえるように、最初の頃から取り組んでいた二本道(離して)を歩くを行う。長い期間取り組んできたので、子どもたちも自信を持って行えていた。

一本道を歩く(二人で手を繋ぎ向かい合って歩く)は、以前までは出来ていたが保護者がたくさんいた事もあって気分が高まり、集中出来ていなかった。なかなか子どもたちの気持ちは落ち着かず本来の姿を見てもらう事ができなかった。その為何度も運動棒から落ちてしまっていた。

手を持ってもらい一本道を歩く(12本分)は、子ども同士でペアになって取り組むだけではなく、保護者ともペアになり行う。
いつもと違う雰囲気の中ではあったが、みんなが楽しんで取り組む事ができていた。
 
■まとめ
“一本道を渡る”という事を目標に、毎月末に運動棒に取り組み、運動棒を行わない週には他の運動遊び(鉄棒・マット・跳び箱)を取り入れてきた。運動棒を取り組むにあたり、ただ乗って渡るという事だけでなく、楽しく飽きずにできるよう遊びの要素も取り入れながら、様々な成長を見てきた。

前期から運動棒を飛び越える事は得意としていたが、運動棒を“渡る”事は集中力も必要となり、乗ってもすぐに落ちてしまう事が多かった。だが、この一年間で集中して取り組む事ができるようになり、楽しむ時は思い切り楽しむ・真剣に取り組む時は集中する、というメリハリがつけられるようになった。

順番に並ぶ・待つ事が苦手な子どもたちであったが、この一年間で少しずつその姿にも変化が見られた。
前期・中期では待つ事が出来ず、他児が運動棒に取り組む間もトラブルが絶えなかったが、後期の頃には子ども同士で「ちゃんとしいや」「静かにしいや」など気付き、声をかけ合う姿が見られた。そこから普段の生活にも繋がり給食前や保育士の話の際に、聞いていない子どもがいると、声をかけてあげるようになる。

心の面でも成長が見られ、他児が一生懸命に取り組む姿を見て「頑張れ」と応援したり、成功した時には一緒に喜んだりする姿が見られる。それと同時に自分が出来なかった場合には“悔しい”と思う気持ちも強くなり、負けないようにと意欲的に取り組めるようになる。
また“諦めない気持ち”も育ち、失敗しても何度も挑戦する強い心へと繋がっていった。
ペアで運動棒に取り組むようになってからは“仲間意識”が強くなり協力する事の大切さを感じている様子が見られた。

運動棒一つの取り組みでも様々な面での成長を見ることが出来た。