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楽しい遊び
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平成28年度研究記録・・・
平成28年度 ひばり組・3歳児 研究発表
テーマ 『積み木遊び』
<はじめに>
3歳児クラスでは『積み木遊び』をテーマに子どもたちの様子や変化、成長などを見てきた。
子どもたちの様子を見ながら、個々での遊びから少人数へ、そして全員でと段階を踏みながら、積み木遊びを楽しんできた。
積み木遊びを通して、協力して作り上げる楽しさや達成感を友達と共有する事で仲間意識の芽生えや友達と協力し合えるようになって欲しいという思いで行った。
<取り組んだ活動と子どもの様子>
〇4月(使用積み木:長方形・動物の積み木):個人で自由遊び
ねらい:積み木遊びに慣れる
積み方は、同じものを積み上げる子や向きを変えて積む子、規則性のある積み方をする子など様々な姿が見られた。また、積むだけでなく平面に並べる子や繋ぎ合わせて迷路のようにする子、囲って家を作り動物の積み木を人形のように動かして遊んだりと、思い思いの遊び方で楽しむ姿が見られた。
ほとんどの子どもが個々での遊びであったが、保育士が間に入ると、友達と一緒に一つの物を作って遊ぶ姿もあった。作っていてもすぐに倒れてしまうため、段々と飽きてしまいブロックなど他の玩具で遊び始めてしまう姿もあった。    
〇5月(使用積み木:長方形・人型積み木):個人やグループで積んで遊ぶ
ねらい:高く積む事を目標にし、遊びを楽しむ
高く積んでみるように誘い遊びを始まる。どのように積むと高く積めるかと個々で積み始める姿が見られた。しかし、すぐに倒れてしまうため、壁を使いまっすぐ積み上げられるように援助すると、持って支える人と積む人に分担しながら2〜3人の友達と協力する姿もあった。
高さは、子どもたちの身長ほど積む事が出来ていた。
人型の積み木を、繋げ、積もうと試す子どももいたが、バランスを取るのが難しいようですぐに崩れていた。
高くするため初めにたくさんの積み木を確保して取り組む子どもが多く、積み木を取り合う姿も見られた。
   
〇6月(使用積み木:長方形):個人やグループで積んで遊ぶ
ねらい:積み木のバランスを取りながら積み上げていく

誰が高く積む事が出来るか、人数や積み方など指定せず遊びを始める。ほとんどの子どもが個々で積み始めるが、数人は積み木を集めてくる人、積んでいく人など友達と協力してする子どももいた。また、協力してする子どもたちは高くなってくると椅子を使いながら保育士の肩の高さまで積み上げる姿もあった。
 
規則性のある積み方で高く積んでいる子を見て、同じような積み方でするように全体がなってきた。
 
〇7月(使用積み木:長方形):個人やグループでドミノ
ねらい:一つ一つ丁寧に置き、集中して積み木遊びを楽しむ
ドミノを作りでは、個々で作って楽しむ子どもがほとんどであったが、積み木が足りずそれぞれが短いものしか作れずにいた。
また、作っていくうちにドミノ同士が合体していき最終は枝分かれしながらも一つのドミノになっていた。しかし、繋げる事を嫌がったり、協力しながらみんなでするという事に興味を持てず、積み木で家など好きな物を作り個々で遊ぶ子どももいて、まだ全員で一つの物を作り上げて遊ぶ事は難しい様子であった。    
〇8月(使用積み木:長方形):自由遊び
ねらい:友達とイメージを共有し関わりを楽しみながら積み木遊びを楽しむ
高く積んだり家や迷路を作ったりと個々での遊びが多かったが、近くにいる友達と自分の作った物を見せ合いながら話をしたり一緒に遊びだす姿が見られていた。
家は部屋を作ったり積み木を家具に見立てたりと作るものをイメージしながら作っていた。
また、「ここは遊ぶ部屋」「お風呂はここ」など細かな設定を作って遊ぶ。
個々で遊んでいるが隣の友達との間隔が狭いため、動いた時に友達の積み木を倒してしまったり、友達が確保した積み木を取ったりと言い合いになる姿はまだあるが、いけなかったと感じると素直に謝りすぐに解決する姿もあった。
 
〇9月(使用した積み木:長方形・人型積み木):グループで一つの物を作って遊ぶ
ねらい:少人数のグループで協力し一つの物を完成させる
4〜5人のグループになり、何を作るかグループごとに決める。グループで一つの物(家やお城等)を作るのはまだ難しいのか、それぞれが作りたいものを作りだしていた。しかし、保育士が順番に間に入りながらグループで一つの物を作っていく事で、徐々にまとまって作る姿が見られるようになってきた。また、4月に動物の積み木を使用した時には、積み重ねていくだけであったが、今回はバランスを取りながら積んでいく姿があった。
積み方は、保育士が四角形や六角形などの土台を 作りその上に積むようになり、バランスを取りながら 慎重に積み上げていた。
高くなってくると自分たちで椅子を用意し積む姿もあった。
   
〇10月(使用積み木:長方形・動物型積み木):グループで一つの物を作る
ねらい:友達同士で話し合い一つの物を作る楽しさを知る
4つのグループに分かれ、動物型積み木を導入したが、グループ内で意見が合わずなかなか取り組めない姿が見られた。
そのため、子どもたちから出た意見の中から「お風呂を作りたいグループ」「お城を作りたいグループ」に分かれて取り組むようにした。
お城チームは会話が弾み、いろんな考えを出し合って作っていた。
お風呂チームは動物型積み木を加えるとイメージが広がり、動物になりきって会話をするなどごっこ遊びが展開されていた。積み木の取り合いも減り落ち着いて遊べていた。
 
〇11月(使用積み木:長方形):グループで一つの物を作る
ねらい:バランスを考えて積み上げながら友達と協力して一つの物を作る
2つのグループに分かれ、保育士が作った見本の高さまで積み上げられるようにする。
見本の高さ以上に積み上げられる子がほとんどであった。
高くなってくると椅子を台にし、背が高い子どもが中心となって取り組んでいた。
数名、グループの中に入らず個々で積み木をする姿も見られたが、周囲が高く積み上げた積み木に集中して盛り上がる姿を見て自然と輪に入り、一緒に協力し始める姿が見られるようになった。
最後は全員で一つの物に取り組んでみたが、全員となるとまだ難しく、個々の積み木遊びに戻っていた。
   
〇12月(使用積み木:長方形):個々からグループへ
ねらい:バランスを考えて積み上げながら、友達と協力して一つの物を作る
個々、2人組、4人組と人数を少しずつ増やしながら積み上げていった。
自分の物を作る事に夢中になるあまり、周りを見れず友達の積み木にぶつかり崩れるという姿が見られた。
2人組で協力するよう促しても、個々でやりたいと嫌がる子もいた。協力出来ているペアは積み上げる人、支える人に分かれ役割を自分たちで決め取り組む事が出来ていた。
崩れてしまっても「もう1回やろう」と前向きに気持ちを切り替えられるようにもなっていた。
〇1月(使用積み木:長方形):個々・グループで自由遊び
ねらい:積み木遊びに集中し、自由に積むことを楽しむ
久しぶりに自由遊びを行い、初めの頃とどのように遊びが変化しているかを観察した。
個々で遊ぶ子もいたが自然と友達と集まり一つの物を作ろうとする姿が見られた。
好きなように遊べる事もあり、遊びに飽きず集中力が持続していたように感じた。
活動の中で高く積み上げる事を取り入れていたので、今回の自由遊びでは家を作る際に壁を積み上げていき立体的なものになっていた。
自分たちだけで高く積み上げていく楽しさも感じているようで、身長より高く積み上げられると緊張感やワクワク感を持ってより集中して遊びを進めていた。
〇2月(使用積み木:長方形)全員で協力する
ねらい:集団で一つのものを作り上げる喜びを知る
積み木を囲んで円になって座り、1段目の土台は保育士が七角形にして作る。
2名ずつ順番に真ん中に来て積み上げていくが積み木の大きさが少し違うため同じ種類の積み木を1段ごとに置かなければ傾いてくる。
同じ積み木を使うよう促し、また好きな場所に次々置いていくと、次の順番の子どもがどこに置けばよいか迷い時間がかかった。
そのうち集中力が欠ける子も出てきて、自分の順番がわからなくなっていた。
途中で1段ずつ完成してから次の段を作っていくようルールを加えると、いびつな積み方から安定した積み方に変わっていった。
   
〇3月(使用積み木:長方形):全員で協力する
ねらい:全員で協力し、一つのものを作り上げる
積み木を囲んで円になって座り、一人2つずつ積み木を積み上げていく。積み木の大きさ
に微妙な違いがあり混ぜながら積み上げると傾くため、一段ずつ同じ種類の積み木を揃えるよう配慮した。
積み方にルールを作るとそのルールを守ろうとし友達が積んでいる姿を見て間違っていると声を掛け合うようになっていた。
高く積み上がると身長が届かなくなり、椅子を使って積み上げ続けた。
積み方も丁寧になり傾くことが減っていた。積む際に向きを調整しながらバランスよく積み上げることを意識していた。
今回は一度も崩れることなく最後まで完成させる事が出来た。達成感やみんなで作る事が出来た喜びを感じている様子が見ていて感じられた。
   
 
<まとめ>
この一年間積み木遊びを研究テーマに子どもたちの遊びの様子を観察し、様々な姿を見る事が出来た。個々の遊びから集団の遊びへと繋がるよう内容を考えて計画していたが、子どもたちの様子を見ながら計画を変更する事が多かった。
初めは色んな積み木に親しめるよう動物の形をした物、大きめの積み木などを取り入れ自由に遊ぶ事から始めた。積み木に興味を示さない子もおり、すぐに遊びに飽きて他の玩具や遊びに気を取られていた。個々で積み木を使う子が多く積み木の取り合いも多く見られた。
動物の形の積み木を使う事でごっこ遊びにも繋がり、子ども同士で会話を弾ませながら楽しんでいた。
9月頃からグループを意識して一緒にイメージを共有しながら、目的をもって積み木遊びを行えるようにした。少人数で同じ目的をもって楽しめるように取り入れたが、グループ同士意見が合わず遊びが進まない事もあった。この頃から高く積み上げる事にも興味を持つようになったが、崩れてしまう事も多く言い合いになり、遊びが続かず集中し、欠けてしまう事があった。
積み木が増えてからは取り合いなどで言い合いになる事はなくなった。
後半は高く積み上げていく事を中心にグループで進め、最終は全員で積み上げる事に挑戦した。積み方が雑になったり、力が入り振動ですぐ崩れてしまう事が多かった。
失敗すると悔しくて怒り出し、一度崩れると諦めて飽きてしまう事もあったが、崩れても「もう1回やろう。次こそはもっと高く積み上げる。」と気持ちを切り替えられるようになっている子もいた。
最後は集中力も全体的に伸び、協調性も見られ、高く積み上げられた時の達成感で喜ぶ姿が見られた。
積み木は色んな形が沢山あればイメージを形にしやすいが、今回は長方形の同じ大きさの積み木で遊ぶ子どもたちを見て、同じ形が沢山あれば永遠と積み上げ、繋ぎ合わせる事が出来、積み木はシンプルな玩具だが遊びの展開が幅広いと思った。
初めの頃にと比べると積み木に対して興味を持ち、好きな遊びの一つとなり高く積み上げたいという気持で、みんなが一つになっていた。積み木の遊び方や友達関係などの変化を見て成長を感じる事が出来た。