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楽しい遊び
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平成28年度研究記録・・・
平成28年度 つばめ組・2歳児 研究発表
テーマ 『集団遊び』
〇はじめに
2歳児では友達や保育士と遊ぶ楽しさを知って欲しいと思い、今年度の研究テーマを『集団遊び』とした。
また、集団遊びを通して他児との関わりを持てるように進めていった。
一年間をT期(4月〜7月)、U期(8月〜12月)、V期(1月〜進級まで)に分けて子どもの成長・変化を観察し、まとめた。
T期(4月〜7月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎4月・5月
散歩・むっくりくまさん・ひらいたひらいた
進級当初は、環境も変わり少し緊張気味の子どもたちであった。また、保育士の声が届かない子どもも多く、日々のコミュニケーションに加え散歩での楽しい時間を共有し信頼関係を築いていく事から始めた。
散歩では、個々に散策を楽しんでおり、友達との関わりはあまり見られなかった。保育士の声掛けに興味を示して集まってくるという感じであった。
むっくりくまさんやひらいたひらいたでは、丸になる事が難しく集団から外れてしまう子どもも数名いた。
そのため遊び自体は1、2回しか続かず集中力もなく、個々での遊びが目立っていた。
むっくりくまさんでは、くまさんが追いかけて来るのが怖くて泣いてしまう子どももいた。ひらいたひらいたは丸になると歌を歌い喜んで取り組んでいた。
 
 
◎6月・7月
いっぴきのぞうさん、しっぽ取り、どろんこ
この頃には保育士との信頼関係を築く事を出来始めていたので保育士の言っている事が伝わるようになって来ていた。しかし、まだまだ集団で遊ぶ事を好まない子どもの姿も見られた。
いっぴきのぞうさんは喜んで楽しむ姿もあったが、名前を呼ばれるのを待ってる子ども、待てない子どもの差が激しく見られた。友達の肩に繋がっていくのを嫌がる子どももおり、すぐに手を放してしまう姿も見られた。
「痛い」「やめて」とトラブルになってしまう事もあった。
しっぽ取りはルールがあまり理解出来ていなかったのか、しっぽを取られ
たら泣く、しっぽをつけても逃げない、しっぽを取られた事に気付かず
逃げ続けるという姿が多く見られた。この頃もまだ集中力がなくすぐに飽きてしまい、違う遊びに気
が向いてしまい遊びが中断される事が多かった。月齢の高い子どもたちにとっては物足りない様子であった。
4月5月で行っていたむっくりくまさんはルールも理解し楽しめるようになってきて、散歩の途中などでも子どもたちが「むっくりくまさんしよう」と提案する事があった。
 
 
U期(8月〜12月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎8月・9月
しっぽとり、あぶくたった、かけっこ
しっぽ取りでは少しずつルールが解り始め、しっぽを取られないように意識しながら逃げられるようになってきた。また、しっぽを取られたくなくてしっぽを押さえたりする姿も見られるようになった。T期では遊びが続かなかったが、もう一回やりたいと子どもたちから訴えてくるようになった。
違う遊びをしている子がいても自分たちの遊びに集中出来るようになって
きた。
また、初めてする遊びにも興味を持って参加出来るようになり、あぶくたったでは「トントントン」「なんのおと」と掛け声のやり取りを楽しむ姿が見られた。掛け声もみんなでタイミングを合わせて言うことが出来てきた。
 
◎10月・11月・12月
鬼ごっこ、イス取りゲーム(全員座る)、室内でかくれんぼ
イス取りゲーム(全員座る)のルールを理解出来た。
しかし、低月齢児がアウトになっているのに音楽が始まると何もなかったかのようにゲームに参加するなどルールを理解出来ていない姿が見られた。逆に、高月齢児はルールも理解し、勝って嬉しい負けて悔しいという気持ちの芽生えが見られた。
 
かくれんぼでは初めは“鬼が見つける”“見つかったら出てくる”“見つかるまでかくれる”というルールの理解がなかなか出来ず、かくれている子を教えたりする姿が多く見られた。
かくれんぼの絵本を見たり、上手にかくれている子に注目がいくような声掛けをして何度も繰り返し取り組む内に少しずつ理解し遊べるようになってきた。
また、絵本を真似て木や岩などになったりしミュージックフェアで
もいつもの姿で楽しんでいた。「一緒にかくれよう」と友達を誘う
など関わりも変わってきた。
 
※鬼ごっこは子どもたちの様子を見てこの時期取り組みはしない。
※6月7月で行った「いっぴきのぞうさん」を子どもたちからの提案で取り組む。以前はすぐに手を放し、バラバラになっていたが、この時期には子どもたちだけで長く繋がる事が出来た。
 
V期(1月〜3月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎1月・2月・3月

・フープ鬼、お茶を飲みにきてください、園庭でかくれんぼ、イス取りゲーム、色鬼(フープ使用)、かごめかごめ、(鬼ごっこ)
お茶を飲みにきてくださいでは、好きな友達を見つけて手を繋ぎに行く姿が見られた。
しかし決まった子どもばかりが誘われる事もあってすぐに飽きてしまう子どもが沢山いた。
高月齢児は「まだやってない」と手を差し出す子どもを誘う事が出来ていた。
友だちだけではなく保育士を誘う姿も見られた。

絵本のかくれんぼが基本になってしまっていた事もあり、園庭でかくれんぼをすると隠れる所があるのに身をかがめて丸くなる子どもが多く見られた。保育士が壁の後ろや体が見えない所に隠れ見本を見せて取り組む。この頃もまだ“鬼が見つける”というルールは定着しておらず、“○○ちゃんここにいる”と鬼に教える姿が見られた。そのため見つかったらお家の中に入るなどのルールを決めて遊んだ。
フープを使った色鬼は、低月齢児はフープに入りには行くが色がわからず目の前にあるフープに入るという遊び方であった。
まずは色が解るように一人ずつ色を伝えて、フープに入りに行き、赤や黄色ではなく“りんごの色”や“バナナの色”と解りやすい声掛けに替えてみた。何度か取り組んでいるうちに色が解るようになり、鬼にタッチされないように急いで逃げ、ルールを理解して楽しめるようになった。
フープでの色鬼が出来るようになってから身のまわりにある物や園庭にある物で色鬼を楽しんだ。

この頃には「まーるくなーれ」と声を掛けると自分たちで手を繋ぎ、丸くなれるようになっていた。また、はみ出している友達がいると「ここ空いてるよ」と入れてあげるなど友達を意識する子どもの姿も見られるようになった。
かごめかごめは喜んで取り組んでいた。後ろの正面になった人が声を掛け周りの子どもは静かに見守るというルールは思っていたよりもすぐに理解し守れていた。
 
鬼役の子がなかなか答えを言わない時は小声で後ろの正面にいる子の名前を言う姿も見られた。また、後ろの正面になると中に入って鬼役が出来るというルールを理解し、歌が終わっていないのに後ろの正面の所で留まろうとする子どもの姿も見られた。  
イス取りゲームでは何度かするうちにルールを理解し遊べていた。
アウトになって悔しくて涙が出てしまう子はいたが、アウトになった事自体が嫌で泣いたりする子は一人もいなかった。また、アウトになった子どもたちは残っている友達の応援をする姿が多く見られるようになってきた。
しかし、空いているのを知り、わざと座らなかったり、一度座ったのに席を移動したりと遊びに慣れた事からふざけてしまう子どもの姿も見られた。
 
U期で見送っていた鬼ごっこは一度行ったがタッチされたら鬼役が変わるというルールはまだ難しいと思い、タッチされた子は保育士の元に集まるというルールで行った。しかし、ルールを理解しておらずタッチされても逃げ続ける姿が多く見られた。それで、次に増え鬼を行ってみた。
保育士は遊びに入らず全体を見て「○○ちゃんタッチされたよ」と声かけをするだけで行ってみた。すると声を掛けられた子は自分で帽子を白に変えてピンクの帽子の子を追いかけて遊ぶ事が出来ていた。
 
帽子の色を変えた事で理解もしやすいようであった。しかし、月齢の低い数名はタッチされても逃げ続けるなど遊びのルールが理解出来ていない様子であった。
※「だるまさんがころんだ」は取り組む内容には入っていなかったが子どもたちからやってみたいとリクエストがあったため取り組んだ。
 
 
〇まとめ
進級当初は集団から離れたり、保育士の声掛けが耳に入らず、不安なスタートでした。
低月齢児が多く遊びにすぐ飽きてしまう子に活動を合わせてしまうと高月齢児は少し物足りなさそうであった。
それで、初めのうちは1、2回で遊びをやめて自由遊びをする子どもと集団遊びの続きをする子どもとに分かれて遊んでいた。しかし、保育士との関係が出来てくると保育士の声掛けにも耳を傾けてくれるようになってきた。
いろんな遊びをする事で、初めての遊びに対しても抵抗なく取り組めていたように感じた。
だるまさんがころんだや貨物列車など年上の友達がしている遊びも一緒に楽しめるようになり、またつばめ組だけでもその遊びが出来るようになった。
様々な遊びが出来るようになって良かった半面、子どもたちの成長を年間で通して見ていくには3つくらいの遊びを集中的に取り組んでいっても良かったのかとも感じた。
勝ち負けの気持ちが芽生えている子どもが少なく、どの遊びでも2歳児でよく見られるトラブルがあまり見られなかった。
自由遊びでも玩具の取り合いなどはあったが、基本的に個人で遊ぶ事が多く大きなトラブルになる事はなかった。
運動会後からは友達への興味や関心が見られるようになってきた。
全員が参加しての遊びも長く続けられるようになり、「もう一回やりたい」と子どもたちから訴えてくるようになった。
自由遊びの時間にも「○○やりたい」「○○やろう」と保育士や友達を誘い自分たちだけで集団遊
びが出来るようになった姿を見ると成長を感じた。
集団から離れていく友達がいると「ここおいで」「一緒にする?」と声を掛けられるようになり、この一年で大きな成長を見る事が出来た。