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平成28年度研究記録・・・
平成28年度 はと組・5歳児 研究発表
テーマ 『ことばと文字』
〇はじめに
4歳児では【ことば遊び】を研究テーマに1年間様々なことば遊びに取り組んだ。
その中で、言葉に興味、関心を持ち楽しんで遊ぶ姿が見られた。
また、後期には、文字を紙に書いたり、絵本を読んだりする姿も多く見られ、文字にも興味を持つ子どもが増えた。一方で、他児や保育士の言葉を集中して最後まで聞く事が苦手な子どもも多かった。
そのような姿を踏まえ、5歳児では、【ことばと文字】という研究テーマで1年間取り組んだ。言葉を話す力、理解力、気持ちを言葉や文字で表現する力を培う事をねらいとし、ことば遊びなども取り入れながら、様々な言葉に触れ、習得し、言葉で伝える事や文字として自分の思いを表現する事に目を向けて子どもの成長を1年間見守った。
 
〇前期(4月〜9月)
[名前を書く]
内容… しりとりのルールに、〈トントン○○〉とリズムを加える。
(朝の集いや少し空いた時間に取り組む)
様子… 字の大きさやバランスを調節する事が難しく、上手く書く事が出来ない姿が多く見られた。また、書き順なども間違っている子どもが多かった。
[しりとり]
内容… しりとりのルールに、〈トントン○○〉とリズムを加える。
様子… 「ぎ」などの濁音が出ると止まってしまうが、「りんご→ごりら→らっぱ」など簡単な言葉は、リズムに合わせスムーズに出てくるようになる。
同じ言葉も何度か出たが、スムーズに言葉が出た事を認め自信を持って取り組めるようにした。
[朝の集いで話す]
内容… 休みの日の出来事や、テーマを決めて一人ひとりが話す機会をつくる。
様子… 自信が持てず、発言するまでに時間が掛る子ども、最後まで言えない子どももいた。「私は…」から始める子どももいたが、「○○した」と主語なしで話す姿も多かった。聞く側も自分の番が終わったら、他児と話をしたり、遊んだりと聞く事が難しかった。
自分の休みの日の出来事や、考えを伝えることは、恥ずかしさもあるようだったが、皆に聞いてもらうことへの嬉しさを感じている様子であった。
[絵を描いて発表]
内容… 散歩の際に見た、桜の絵を描く。どんな絵を描いたのか、難しかった点などを皆に伝える。
様子… 去年のはと組が発表した「将来の夢」と同じように発表した。「わたしはこんな絵
をかきました…」と保育士に言われたら発表出来るが、初めての事なので戸惑う様子も伺えた。
絵を掲げ、発表する事に照れながらもしっかり伝える姿も見られる。
保育士が問いかけると、「えだをかくのがむずかしかった」「さくらはきれいだった」と思い思いに感想を伝える事が出来ていた。
[新聞読み聞かせ]
内容… 新聞の連載を毎日少しずつ読み、耳で聴くという時間をつくる。
様子… 内容に興味を持ち集中して聞いていた。イメージを膨らまし、次の展開を予想する子ども、集中出来ない子どもと様々な姿が見られた。
子どもにとって、静かにする時間となり、心を落ち着ける時間であった。
[硬筆・毛筆]
様子… 毛筆では、「いし」を書く。初めての毛筆にとても興味を持っていた子どもたちであった。
鉛筆と違い、書きにくそうにする姿も見られたが、お手本を見て丁寧に書き進めていた。はねる、はらうが難しそうであった。
 
   
[言葉の間違い探し]
内容… 「りんごが1枚ありました」→「りんごが1個ありました」と、間違いを探す。
(「画用紙が1つありました」「お皿が1本ありました」「ぞうが1匹おりました」など)
様子… お箸「1膳」、靴「1足」が難しい様子であった。動物は「匹」「頭」「羽」など様々な数え方があり、子どもたちも難しそうであったが、何人かは知っており、使い分けていた。今回のこのゲームで「そうなんだ」と知り、学ぶ姿も見られた。
間違い探しのルールがよく分かっていない子どももいた。
[新聞紙文字探し]
内容… 3人グループに分かれ、新聞紙の中から言われた文字を探し鉛筆で○をつける。見つけた数を数えて多いグループの勝ちというルールも入れた。
様子… 「お」「は」などは多く見つけていた。一方で「を」「ぬ」などはなかなか見つけることが出来なかった。よく書く字はたくさん見つけていたが、あまり書かない字や親しみのない字は探すのに時間が掛った。また、ひらがな以外にもカタカナを見つける子どもがいた。
どちらが早く文字見つけられるかを競ったり、自分の名前を1文字ずつ新聞紙の中から見つけて遊んだりと、集中して取り組み、自分たちでも考え遊びを広げていた。
「こっちさがすから、あっちさがしといて」と他児と協力する姿も見られた。
 
   
[古今東西ゲーム]
内容… お題に合わせてリズムよく応えていくゲーム。輪になって取り組む。
(例えば、「動物」「好きな色」などお題を決める)
様子… パンパンと手を二回叩き、リズムよく進め、スムーズに答える事が出来ていた。
他児と違うものを言おうとする子どももいれば、他児と同じものを答える子どももいた。どちらにしても、すぐに言葉が出てくる姿に成長を感じた。
[ナンバーゲーム]
内容… 輪になり1から順に番号を決める。初めの人はリズムに合わせて「自分の番号」と「他児の番号」を言う。それを繰り返し行う。
様子… 初めはルールが難しく、何度も止まることがあった。しかし、繰り返し行う内にリズムをつかみスムーズにゲームを楽しむ事が出来た。言葉ではないが、自分の番号、他児の番号を瞬時に発言する事が出来るようになった子どもの姿に大きな成長を感じた。また、リズム感も培われたように思う。
みんながスムーズに出来るようになった事で、ゲームも盛り上がり、おもしろいものとなった。
※自由遊びで手紙を書いたり、紙芝居を作ったりする姿が多く見られるようになる。遊びの中で鉛筆の使用も増えた。手紙では思いを伝えたり伝えてもらったりと、嬉しそうにして楽しむ子どもたちであった。
 
 
 
〇後期(10月〜3月)
[ステレオゲーム]
内容… 数人が違う単語を同時に言い、誰が何と言っているかを聞きわけるゲーム。
「ぴあの」「つみき」「つくえ」「たいこ」など
様子… 最初は、言う側がそろえて言えなかったり、声の大きさにばらつきがあり、すぐに答えられてしまう事もあり、声を合わせようとする。
聞く側は、適当に答える子もいたが、静かに聞き取ろうとする姿が見られた。
回数を重ねていくごとに、3文字から4文字にしたりと自分たちで難易度を上げていくようになってきた。
[ビンゴゲーム]
内容… 自分たちで大きな四角を書き、縦、横それぞれ2本ずつ線を引いて9個のます目を作り、そのます目にバラバラに1〜9の数字を書き、ビンゴカードが出来上がったところでゲーム開始。
様子… 最初は、意味がわからない子もたくさんいる。回りの友達に教えてもらうなどしながら理解していく姿も見られる。ビンゴカードのます目を9個から16個、25個と増やしていく。
バラバラに数字を書いていくのが、数が増えるとややこしくなっている姿も見られた。市販のビンゴカードを使用した時は、数字が大きい事もあり、探すのに時間がかかっていた。また数字が大きくなると「32」を「23」と間違えたり「にじゅう(20)」が「21」となったり勘違いする姿が見られた。
[硬筆・毛筆]
様子… 後半の硬筆では、お手本を見ながら「星からスタートして、花のところまで・・・」など注意深く丁寧に書くようになってきた。また筆圧が強くなってきた事も感じた。
[お話作り]
内容… 一人ひとりが、順に簡単な文章を作り、皆でお話を繋げていく。
様子… 「お泊り保育に行きました」から始まると、実際に体験した事柄「カレーを食べました」「川で遊びました」など続いていくが、1人が「そこへおばけがやってきました」と言う事で、ワクワクしながら、どんどん子どもたちのイメージが広がっていった。
[季節の言葉連想ゲーム]
様子… 「春」桜、「夏」プール・海、「秋」どんぐり、「冬」雪・こたつなど連想する。
「花」「風」「着物」などいつの季節でも通用するような言葉も出て来た。
やはり自分たちの体験した事が多くあった。またシール帳に貼るシールで、季節を感じている子どももいた。
[英語でことば遊び]
内容… ミュージックフェアで、英語でことば遊びをする。  
様子… 今までしてきた仲間集めの集大成として、サイコロを使用して遊びの中に取り入れていった。
大きく分けて「動物」「野菜」「果物」「赤いもの」「黄色のもの」「乗り物」の6つに分類していき、自分たちで、絵を描いて絵カードを作成していった。
バナナは「黄色いもの」でもあるし、「果物」でもあるなどにも気付き、どちらの仲間に加えるかなどその都度子どもたちと相談していった。大きな舞台で、全員が英語で発表する事が出来た。
[大きくなったら・自己紹介など]
様子… 英語の時間に「私は、大きくなったら・・・になりたいです」と英語で発表したり、安心住宅訪問時にも一人ひとりが発表する機会を設けた。  
[硬筆・作文]
内容… 簡単な文章作りをする。「私は、大きくなったら・・・・」とお題を決めて書いていく。また「・・・だからです」と理由も書けるように促していく。
様子… 書きたい事はあるが、どのように表現すればいいのかわからないという子どももいる。読点、句読点や助詞の「は」「へ」「を」などの使い方が難しいようだった。
[さかさまことば]
内容… 手拍子に合わせて、保育士が言う単語の、逆から読んだ言葉を言う。
例えば「さかさま言葉 つーき(月)」と言うと、「きーつ」と答えていく。
様子… 最初は、2文字から始めたり「とまと」や「すもも」など3文字でも簡単なものを取り入れていく。
慣れてくると「つくえ」「ぼうし」「かいだん」「らいおん」など文字数を増やしていく。3文字でも「でんわ」「パンツ」など真ん中に「ん」のつく単語は比較的簡単なようだった。子ども同士でも問題を出し合っている姿が見られた。
また自分の名前をさかさまにして言い合うなど、遊びが発展していた。
 
〇まとめ
1年間で、様々なことば遊びをした。
硬筆やおおぞらステップなどで、文字に触れる機会も多くなり、更に文字に興味を持つようになってきた。
文字を書くことはもちろん、耳で聞いて頭で考える事もたくさん取り入れていった。
また古今東西やナンバーゲーム、さかさま言葉などの様に、手拍子に合わせてテンポよくリズミカルにする事で、緊張感も出た。
子どもによっては、豊富な語彙を持つ子どももいれば語彙の乏しい子どももいて、個人差はあったが、「しぇってどう書くの?」「フェアリーのフェってどんな字?」など難しい字を使って、自分たちの生活や遊びの中で、文字を取り入れる姿をよく見る事が出来た。