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平成29年度研究記録・・・
平成29年度 ひばり組・3歳児 研究発表
テーマ 『ごっこ遊び』
<はじめに>
3歳児クラスでは『ごっこ遊び』をテーマに、その月々に合わせた絵本を題材にごっこ遊びを楽しんできた。
昨年度の2歳児クラスでは、『集団遊び』をテーマに一年間過ごし、一人遊びが中心だった子どもたちも『集団遊び』を通して、友達と遊ぶ楽しさを知る事が出来ていたので、今年度は、集団でのごっこ遊びの中で、絵本のストーリーに入り込み、友達と一緒に遊ぶ中で想像力や社会性、言語能力を育んでいきたいと思い『ごっこ遊び』をテーマにした。
<取り組んだ活動と子どもの様子>
〇4月 絵本 「おおきなかぶ」
様子
・絵本を読んだ後に登場人物を確認すると「おじいさん」「おばあさん」「ねこ」「ねずみ」などと積極的に答える。
・どの登場人物になって遊びたいかと尋ねると、すぐに「おじいさん」などと決められる子もいるが、何となく様子を見て決める子、何をするのかまだよく理解出来ていない子も多く見られる。
・一度ごっこ遊びを行うと、遊び方を掴めた様子も見られ、「もう一度やりたい」という声も多く聞かれる。
役を変える子もいるがもう一度同じ役をする子もいる。新たに「かぶになりたい」という声も出てきた。
・役になりきって遊ぶというよりは、
かぶに見立てた布を引っ張って遊ぶ事を
楽しんでいる様に感じた。
   
〇5月 絵本 「おおかみと7ひきのこやぎ」
様子
・前回のごっこ遊びを覚えている事もあり、ごっこ遊びをする事を知ると早速「こやぎになりたい」と役を決める子もいる。
・一度目はこやぎを好んで遊ぶ子が多かったが、二回目からはおおかみ役に変更して楽しむ姿も見られた。
・こやぎ役、おおかみ役にそれぞれ保育士が入り「おおかみがきたよ。どうする」などと声を掛ける事で「声が怖いからオオカミだ」などと促される事で、セリフが出てくる様子が見られる。
・中心になってセリフを言う子が決まっており、同じ子ばかりが発言する。
・おおかみが家に入ってきてこやぎたちが隠れる場面では、ほとんどの子どもが机の下に隠れる。
中には、ピアノの椅子の下や棚の後ろなど誰も居ない場所を探して隠れる姿も見られる。
・役になりきって遊べる子も増えてくるが、まだ理解出来ず遊びに入り込めない子もいる。
 
〇6月 絵本 「999ひきのきょうだい」
様子
・絵本を読んだ後、どの場面で遊びたいかを子どもたちに尋ねると、「かくれんぼをしたい」という返事が返ってくる。限られた範囲でのかくれんぼではあるが、隠れたつもりで遊びを楽しむ姿が見られる。 ・4月、5月とも使用してきた布を今回は「へび」に見立てて使用する。
・「へび」「おにいちゃんかえる」「お母さんかえる」
などそれぞれなりたい役で遊びが始まる。
 
〇7月 絵本 「3びきのやぎのガラガラドン」
様子
・やぎとトロルの歌を少し前より保育の中で歌っていた為、絵本を読み始めると、歌を唄いだす姿も見られた。
・大、中、小のやぎ、トロルの4つのグループに分かれる。自分で好きな役を決めて分かれる事が出来る。
・小さいやぎから順にウレタンブロックの橋を唄いながら渡ると、トロル役の子どもたち がセリフを言いながら現れるなど、ストーリー通り、歌の通りに動く姿が見られる。
・もう一度したいという声もあり、次は別の役に変えて遊ぶ。
・セリフや歌は繰り返しなので、子どもたちにも解りやすく、表現ややり取りを楽しむ姿が見られる。
   
〇8月 絵本「スイミー」
様子
・水の中で泳いでる様子を体で表現したり、ご飯を食べるなどの日常生活を再現する姿が見られる。
・海の中にいる大きな魚を驚かすために、皆で力を合わせようと声を掛ける。
「かたまっていく」と絵本のストーリー通りの意見や「大きな声を出す」という意見も聞かれる。
・イメージを持てる子どもは「じぁ、○○してみようよ」などどんどん意見を出してくれるが、他児について歩いているだけの子もいる。
・運動会では、広い場所で更に大きく見えるようにするために、両手を広げてみる。 当日は、大きな魚が現れ、岩や海草に隠れて魚の様子を見る。 目標物になる何かがある事が、子どもたちに解りやすい様だった。
〇9月 絵本「きょだいなきょだいな」
様子
・繰り返しのある絵本なので、「ひろいのっぱらどまんなか、子どもが100人あつまって…と子どもたちが自然に口ずさむ姿が見られた。
・巨大な石鹸の山から滑り落ちたり、巨大なトイレットペーパーが転がって止まらないなど、好きなように表現を楽しむ姿が見られた。
・もう一度したいという声もあり、何度か楽しむ。 前回とは違う表現をしようとする子もいたが、友達がするのを真似る子も見られた。
・言葉やセリフのないごっこ遊びを楽しめているようだった。
〇10・11月 絵本「11ぴきのねこふくろのなか」
様子
・看板や花、袋に見立てた布を用意してごっこ遊びを行った。また、このごっこ遊びは、2カ月を通して、数回行い遊んだ。
・絵本を思い出し、「1つぐらいならいいよ」「みて、なんかある」など先々に言葉を発して進めようとする姿もあった。
・初めて遊んだ時には、ストーリに沿ってセリフを言うように遊んでいたが、ネコの歌やネコのわらべ歌などを取り入れて遊んでいるうちに、段々とネコになりきってごっこ遊びを楽しむようになってきた。
また、ごっこ遊びだけでなく、朝の集い時にも名前を呼ばれると「ニャー」と猫の鳴き声で返事する姿もあり、役になりきりながら楽しんでいる様であった。
・絵本に出てくるウヒアハは保育士がした。
一緒に遊ぶ時には“花いちもんめ”や“あぶくたった”
“うちのうらのくろねこ”などと遊びを変えながら行った。
しかし、花を取ったり、橋を渡ったり、袋に入ったりという部分は同じなので、回数を重ねるごとに段々と慣れてしまい、劇遊びの様になっていった。
 
〇12月 絵本「3びきのこぶた」
様子
・紙芝居を見終わると「ちいブタがいい」「オオカミしたい」「お母さんブタがいい」などそれぞれ発言する姿があった。自分のしたい役ではなく友達と同じ役を選ぶ子もいたが、お母さんやオオカミなど好きな役が決まっている子どもは同じ役を繰り返し楽しんでいた。
・家作りは、新聞紙や大型ブロックを用意し、自分たちで作ろうと思える様に促していった。  新聞を広げたり棒状にしたり、ブロックで囲ったりとそれぞれの役に分かれて作る姿が見られた。
・初めは、「お母さんたち、子どもたちの様子を見てきて」「(オオカミさん)ここにお家があるよ」など保育士が促して進めていたが、だんだんと「オオカミが来るから気を付けてね」「(オオカミに)負けないぞー」など自発的な言葉もあった。
・ごっこ遊びが終わっても「もう1回したい」と繰り返し、役を変えながら楽しんでいた。

 
〇1月 絵本「ねずみのでんしゃ」
様子
・事前に保育士が線路を作って置き、子ネズミやお母さんネズミ、ヘビ等好きな役になってごっこ遊びを始める。
・初めは、「○○がお母さんしたい」など役を決めるのに言い合いになったが「一緒にしよう」と自分たちで話をして決める姿もあった。
・一列に繋がると「チューチューゴーゴー チューゴーゴ―」と掛けながら線路をたどって楽しんでいた。
・「チュー学校へ行くから用意してね」「ヘビがいるからいやだ」など絵本を思い出してそれぞれのセリフを言う子どもたちであった。
また絵本では、ヘビが長くつながったネズミたちを見て驚いて逃げるとなっているが「もっとヘビを長くしたら、ネズミに勝てるんじゃない」と新しい展開を広げる姿も見られた。
段々とイメージを膨らませて遊びを楽しめる様になって来た。
2月3月は、今まで楽しんだごっこ遊びの中から、子どもたちにどれがしたいかを尋ね、多数決で決めていく。
一番最近行った遊びが印象に残っているのか「ねずみのでんしゃ」に決定する。
〇2月 絵本「ねずみのでんしゃ」
様子
・今回は事前に線路を作らず、縄跳びを用意して子どもたちで作れるようにする。  
チュー学校と家の場所をみんなで決めてから遊び始めた。      
お母さん役の子どもたちで縄跳びをつなぎ合わせて線路を作るが、それぞれ思い思いの場所に繋げていくので行き止まりになったり、途中で途切れたりとチュー学校から家までの線路を繋げ合わせるのが難しそうであった。
・話にも慣れているので、特定の子どもが先々と進めてしまうったため、ついていけずにいる子どももいた。
・もう一度する時には、子どもたち全員が子ネズミになって遊ぶ。特定の子どもの声は目立っていたが、それぞれがセリフを言いながら楽しんでいた。
・話す時には語尾に「チュー」をつけて、ネズミになりきって楽しんでいた。  動物はイメージしやすく、なりきりやすい様子であった。
〇3月 絵本「三びきのこぶた」
様子
・今回は、わらの家(新聞紙)木の家(ウレタンブロック)レンガの家(大型ブロック)をそれぞれ用意し、オオカミ、お母さんブタ、大ブタ、中ブタ、小ブタの中から好きな役になって遊ぶ。
・それぞれの役の子ども同士で、協力して家を作る。
・わらの家は、前回は床に敷き詰めたり、手で持ったりしていたが、今回はままごとコーナーの仕切りや棚を生かし、新聞をテープで貼って立体的に作ろうとする姿が見られていた。
・木の家は、ウレタンブロックを立てて置き、高い壁を作り、途中でウレタンブロックが倒れない様に友達同士で支え合いながら協力して作る姿が見られていた。
・レンガの家も絨毯を囲うように繋ぎ合わせ、協力して作っていた。
・それぞれに、「オオカミに負けないぞ」「吹き飛ばしてやる」「オオカミいなくなったし、スープ作ろう」などセリフを言って楽しんでいた。
   
 
<まとめ>
 初めの頃は、ごっこ遊びがどのようなものかイメージが出来なかったり、自分がどの役をしたいかを決められずにいる子も多くいたが、段々と、絵本を見終わる頃には「お母さんする」「オオカミがいいな」と自然に自分のなってみたい役を考えられるようになった。
一人ひとりの成長を大きく感じることはなかったが、一つの遊びを通して、協力して何かを作ったり、共有しようとする姿が見られるようになった。
例えば、3匹のこぶたのごっこ遊びの中のそれぞれの家を建てるところでは、「これなら、オオカミに見つかる、だから○○○しよう」「でもここから見えるよ」「じゃあ、こうしよう」など自分の意見を相手に伝えたり、人の意見を聞こうとする姿も見られるようになってきた。
この一年間、絵本を通してごっこ遊びを行ったが、どうしても絵本の内容にとらわれ、絵本のストーリーの通りの流れになってしまい、言葉もセリフの様だったりと、ごっこ遊びの広がりが少なくなってしまう事で難しさを感じる琴もあった。
しかし、そんな中でも自由な発想の子は、絵本の内容にはない様な遊びに展開していく姿があり、一緒に遊んでいても楽しいと感じる事が出来た。