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平成29年度研究記録・・・

平成29年度 かもめ組・4歳児 研究発表
テーマ 『製作遊び』
 
◎はじめに
3歳児で積み木遊びを研究テーマとしていたので引き続き取り組んだ。
また、座って集中して遊ぶのが好きな子どもたちだったので製作遊びをテーマに選んだ。
絵の具をはじめ、はさみの使用、廃材や自然物など様々な物に触れ楽しめる様に進めていこうと考えた。積み木遊びでは、個々の主張だけではなく周りの意見や考えを受け入れて、協力し合う事を目標に進めて行った。
一年間をT期(4月〜7月)、U期(8月〜12月)、V期(1月〜進級まで)に分けて子どもの成長・変化を観察し、まとめた。
■T期(4月〜7月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎4月 お団子入れ・こいのぼり製作
・お団子入れ(ちぎり絵)…指先を使い、折り紙ちぎり
細かすぎたり大きすぎたりと、まだ上手く指先を使えていない子どもがほとんどであった。
字が読めない子どもが多かったので、分かりやすく自分の好きなマークを描いていく。
絵を描く事に慣れておらず、丸だけしか描かない子もいた。
何を描いていいのか解らず友だちの真似をしていた。
・こいのぼり(にじみ絵)…絵の具を使用(ストロー吹き)
同じ絵の具でも使い方の違いで、出来る形や模様が全く違う事を知った。
筆や絵の具の使い方を丁寧に伝える事で、トラブルなどもなく楽しむ事が出来た。
色の使い方は様々で、色が混ざっていても気にしなかったり、同じ色しか使わない子もいた。
(にじみ絵)
水を塗っておいた紙に絵の具を垂らす
  (ストロー吹き)
絵の具を垂らしてストローで吹く
 
◎5月 クレヨンぼかし
・クレヨンぼかし…クレヨンの様々な使い方を知る
クリアファイルの型に添ってクレヨンでなぞっていき、指でクレヨンをはじいて行った初めは難しそうにしていたが、コツを掴むと綺麗にはじけるようになり、模造紙を何枚も使って楽しんでいた。
この時、指先は上手に使う事が出来ていた。
大きな模造紙を使用したため、周りが見え同じ色ばかり使う子はいなかった。
出来上がったものを飾る事で友だちとの会話にも繋がり「またやりたい」という気持ちが芽生えた。
 
◎6月 小麦粉粘土・シャボン玉吹き絵
・小麦粉粘土…小麦粉の感触の変化の違いに気付ける様にこねるところから子どもたちが(お弁当作りに取り組んだ)行う様にした。
サラサラの小麦粉に水を入れるとにゅるっとして手にくっ付くので保育士が手伝い成形した。
食紅を混ぜた物も作り、出来た粘土でお弁当作りを楽しんだ。 廃材をお弁当箱に見立てて、ハンバーガーや卵焼き、おにぎりなど友だちと会話をしながら取り組んでいた。
イメージの出来ない子は全部の色を混ぜてお団子を作っていた。
・シャボン玉吹き絵…シャボン玉の液の中に絵の具を混ぜてストローで吹いてみた。
シャボン玉は出るのですが、うちわの上に上手く泡を落とす事が出来ずに絵の具の塊が落ちているだけの子が沢山いた。
透明のシャボン玉の中に絵の具を入れるだけで二倍の楽しさが感じられた様で、終わりを伝えると「まだやりたい」と残念そうにしていた。
 
◎7月 ブラッシング・うちわ製作
・ブラッシング…絵の具・歯ブラシ・網を使用
網が少し粗目だったので難しかった様である。
絵の具が大きくポタポタ垂れてしまい、歯ブラシの動かし方を教えてあげると、形が浮かび上がり喜んでいた。

※スモック一枚で取り組む事で汚れる事を気にせず楽しむ事が出来た。
(この頃になると汚れる事を楽しむ子どもの姿もあった。)
 
・うちわ製作…画用紙を細長く切ってひまわりを作り
○は保育士が描いてあるのを切ったが、花びらになる部分は自由に細長く切っていた。
線がなくても戸惑う事なく切る事が出来ていた。
直線は全員切れていたが、曲線ははさみをくるくる回して切ってしまうためガタガタになってしまう子が多かった。
花びらの枚数が沢山だったが、集中して根気強く貼っていく姿が見られた。
 
U期(8月〜12月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎8月 デカルコマニー
・デカルコマニー…絵の具の不思議、楽しさを味わえるように進めた。
画用紙を開いた時にどの様な模様になるのかを考えながら絵の具を垂らしていた。
青虫やハート、顔など頭の中でイメージしながら取り組んだ。
保育室にヒモを準備して洗濯ばさみで飾れるようにしていたので、

 
誰一人「もうやめたい」という事はなく「もう紙ないの」と言うくらい楽しんでいた。
色の使い方は様々で一色だけ、色を混ぜる子、カラフルにする子など個性が出て来た。
(筆でそのままグルグル二つ折りにして描いて出来たもの転写出来ている絵)
◎9月 経験画・空き箱ジェンガ
・経験画(運動会)…運動会の演目で一番楽しかった事を描く。
頭足人の子もいたが、何を描きたいのかが伝わってくる絵が多かった。
数名ほどグルグルなどの子もいた。この頃から自由時間に鉛筆を使用する様になり絵を描く子どもが増えて人の絵がどんどん上手になってきた。
   
・空き箱ジェンガ
@順番に好きな箱を積んでいく。
箱の形が色々ありただ好きな箱を積んでいっただけなので、ある程度の高さまでくると崩れてしまう。
そこで皆でどうすれば高く積んでいけるのかを話し合うと箱の形を見て「大きいのから積めばいい」と発見する事が出来た。
A平らな四角、大きな四角、細長い四角と順番に積んでいくと@の時よりも高く積む事が出来た。
B高く積む事が出来る様になってきたので、自由に遊ぶ。
保育士は見守るだけで子どもたちの好きな様に遊んでもらい、箱を並べているうちに自然と「ここに置いてみて」「ここは運転席にしよ」とみんなで一つの物を作っていった。
出来たものでごっこ遊びが始まったり、遊びが展開していき見ていて楽しかった。
@
  A  
B
   
◎10月 ダンボール遊び・色砂作り
※色砂は砂を採取するタイミングが合わず延期した。
・ダンボール遊び…大きさの違う段ボールを空き箱ジェンガの時の様にして遊ぶ。
空き箱の時よりもイメージしながら組み立てる事が出来、電車や家、海の世界などをそれぞれが作り、最後は皆で一つになって遊ぶ姿が見られた。
◎11月 経験画・MF作り物
・経験画(みかん狩り)…みかんがどのように出来ていたかなど子どもたちと話をしてから絵を描いた。
運動会の時よりも絵が上手くなっていて頭足人がなくなっていた。
人を描いていない子もいたが、みかんの絵は皆が描いていて、何を描いているのか分からない絵はなかった。
この頃、自由遊びの時間に色鉛筆を使う様になった。
◎12月 廃材遊び・クリスマス製作
・廃材遊び…廃材で好きなものを作る
ボンドで廃材をくっつけるのが難しかったようである。
何かをイメージして作るとい うよりも箱の中に箱を入れてくっ付けていた。
・クリスマス製作…散歩で集めた木の実を使って製作 牛乳パックが土台になっていて少し硬くて切りにくそうであった。
ちぎり絵も一緒に取り組んだが、4月に比べで均等な大きさにちぎる様になっていた。
保育士が作ったオーナメントを木に結んでいくのを心待ちにする姿が見られた。
   
 
V期(1月〜3月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
◎1月 廃材遊び・鬼のお面製作  
・廃材遊び…廃材を使ってお店屋さんごっこ 広告も使う事でよりイメージしやすかった様である。
お肉、ケーキなど好きな食べ物を自分で選び、はさみで切って集めている子もいた。
はと組さんにお客さんになって てもらいごっこ遊びを楽しんだ。
 
・お面製作…はさみを使う事をメインに製作した。
線の上を切るのも 上手くなり、眉毛は下書きなしで自分の好きな形に切る。
それぞれ個性豊かなお面が出来た。
髪の毛はアルミホイルに油性マジックで絵を描く。
保育士は説明が終わった後見守りながら声を掛ける様にしていたが、ほとんどの子どもが援助なしで取り組む事が出来ていた。

 
◎2月 色砂作り・おひな様製作
・色砂作り…10月に予定していた色砂作り 色砂が出来るまでに沢山の工程がある。
保育士は説明するだけでほとんどの子どもたちが、一つひとつの行程に興味を持ち作っていた。
色を混ぜるのもふるいにかけるのも自分たちで行った事で色砂を使ってどんな製作をするのかと、また一つ楽しみが増えたようであった。
1、 砂をふるいにかける   2、絵の具を入れてよく混ぜる   3、日光に当てて乾かす
   
4、もう一度ふるいにかける   5、完成    
     
・おひな様製作…にじみ絵 水性ペンで絵を描いてから霧吹きで水をかけてインクをにじませた。
ペンや鉛筆を持つと、どうしても人の絵を描きたくなる様である。
点々や線の方が綺麗ににじむと伝えていたが、人の絵を描いて色を塗ってしまう子もいた。
何でも集中するが、楽しい気持ちが勝ってしまい一つ一つの工程に時間がかかってしまう子どもが多かった。
 
◎3月 似顔絵
・似顔絵…クレヨンで自分の顔を描き顔の色のみ絵の具で塗る
筆圧の弱い子は絵の具を塗ると描いた目や鼻が消えていた。
キャンバスを渡すと戸惑う事なく手を進めていける姿に成長を感じた。
色砂は顔の周りに飾り、のりを塗ってその上に砂を落とすと綺麗に形が浮かびあがり子どもたちも喜んでいた。

 
 
〜 積み木遊び 〜
ひばり組から取り組んでいる積み木遊びも同時に進めていった。
今年度は皆で一つのものを作り協力する事を目標にして進めていった。
積み木の使い方やタワーの作り方は知っていたので、皆で一つのタワーを作ろう」と初めに説明をして始めたのですが、まだ一人で勝手に作っ ていく子や積み木の取り合い、バラバラの場所に作っていくなどまとまりがなくトラブルばかりですぐにタワーが崩れてしまっていた。
皆でというのが全く出来なかったので途中でグループごとに組み立てていくやり方に変えるとトラブルは少なくなった。
周りを見ていなくて崩したり、集中力の短い子どもたちは参加していない姿もあった。
 
◎6月  
積み木を新しく作って頂いたので、自分たちでやすりがけをした。
角が丸くなるようにと伝えたが、丸くなる感覚がまだ掴めない子どもが多かった。
「積み木ってこんな風にしてできてるんや」と自分たちでやすりをかける事でより積み木が好きになり、量も増えてトラブルも少しずつ少なくなってきた。
本当に座って黙々と取り組んでいく活動が好きなクラスでやすりがけも「まだやりたい」と朝の活動の時間をほぼ使って楽しんで取り組んでいた。
◎10月 ドミノ
運動会が終わった頃から子どもたちから「協力」という言葉がよく聞かれるようになってきた。
積み木遊びはタワーではなく、ドミノに挑戦した。
積み木全部を使って一つのドミノを完成させる事をテーマにした。
初めはバラバラになって積み木を並べていた。
「全部一つに繋げるんだよ」と何回も声を掛けていくうちに「こっちに曲がってきて」と子ども同士で声をかけるようになり、ドミノが倒れてしまうと「ごめんね」「いいよ。もう一回並べたらいいから」というやり取りも出来るようになっていた。
何度か行ううちに「部屋にある積み木全部使ってやってみよう」と提案する子どももいた。
ドミノを完成させる事で達成感も味わう事が出来た。 
 
◎12月 街作り
積み木、動物ブロック、電車を使って皆で一つの街を作った。
一人でコツコツと作っている子もいたが、「一緒に動物園作ろう」「ここはイルカショーのところにしよう」と声を掛け合っている子どもたちが沢山いた。
進級当初にはなかった姿が見られる様になり子どもたちもとても楽しそうであった。
作り終わった後も自然とごっこ遊びが始まり、時間が足りないくらいであった。
◎1月 積み木タワー・ドミノ
クラスが少しずつまとまってきたので、再度タワー作りに変えてみた。
グループに分かれてどのグループが高く積めるか競争するところから初めたので意欲が見られ、協力しようとする姿も見られた。
積み木の組み方を新しくした事で崩れる事が少なくなり、以前より高く積む事が出来る様になった。
ドミノでタワーを倒す事にも挑戦したが何度やっても失敗で、どうすれば倒れるんだろうと子どもたちも悩んでいた。
こうしてみよう、こうしてみたらいいと子どもたちは沢山提案してくれた。
 
 
〜 まとめ 〜
もともと座ってコツコツ何かをするのが好きな子どもが多かったので、何をやっても楽しんでくれた。 初めの頃は絵の具を使うと「手についてしまった」など汚れる事を気にする子どもたちだったので、汚れを気にせず大胆に遊んでもらえるように、夏のシャワーのある時期にスモック一枚で絵の具遊びを行った。
そうすると汚れてもいいんだと思えるようになったようで、回数を重ねるごとにより楽しめるようになってきた。
何でも集中して長い時間同じ遊びを続ける事が出来る子どもたちだが、何に対しても時間をかけてしまいがちで一つの工程にすごく時間がかかり、一日で終わらないことも何度かあったので、決められた時間の中で楽しめるように声を掛けるようにした。
製作遊びをする中で、「○○してもいい?」から「こうしたい」「こうしてみたい」「こうしてみよう」と自分で考える力も身に付いたと感じる事が出来た。
また進級当初はクラスのみんながバラバラで自分勝手な子どもたちの姿がとても目立ち、 保育士の話に耳を傾けようとする姿もあまり見られなかった。
積み木遊びではまずルールを守ることから始めた。
積み木遊びは昨年度から取り組んでいたため遊び方や発想して遊ぶ力は身についてきた。
しかし積み木の取り合い、場所の取り合い、意見を聞かない、ルールを守らないなどですぐにトラブルになり遊びを中断していたので不安な気持ちでいっぱいだった。
自分たちで積み木のやすりがけをしたり、グループごとに高く積む競争を取り入れたりする事で少しずつ協力し合う気持ちが出た。
運動会後頃から仲間意識も高くなりはじめ、ミュージックフェア前には「協力」という言葉も子どもたちから聞かれるようになり、協力しないと完成しない事、自分だけの力ではできない事にも気が付き「ここはこうしよう」など声をかけあい楽しめる様になった。
初めの頃は積み木が崩れると「やめて」と怒ってばかりだった子どもたちも自然と「ごめんね」が言えたり「壊れてもまた作ればいいよ」と他児の失敗も受け入れられる様になり、大きな成長が見られ積み木遊びを引き続き取り組んでよかったなと感じた。