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平成29年度研究記録・・・
平成29年度 はと組・5歳児 研究発表
テーマ 『栽培活動』
◎はじめに
“栽培活動”をテーマに一年間子どもの様子と取り組みを研究しまとめた。
「栽培する」「収穫する」「食べる」などを通して様々な花、食べ物に興味を持ち、大切に育てる中で思いやりの心を育むこと、食べ物を頂く事への感謝の気持ちを抱き、関心を深める中で、食べる喜び、楽しさを味わう事などをねらいに栽培活動に取り組んだ。
また、成長する植物に対しての子どもたちの発言、関わりにも注目し見守った。
〇4月
【 植木鉢作り 】
栽培活動に興味が持てるよう自分だけの植木鉢を製作した。
ペットボトルを使用した簡単な植木鉢であったが、これからこの植木鉢で植物を育てるという事に期待感を膨らませ思い思いにデザインしていた子どもたちであった。
【 玉ねぎの収穫 】
第五中学校にて玉ねぎの収穫をさせて頂いた。
玉ねぎ畑を初めてみた子どもたちは、土の中から玉ねぎを力いっぱい抜き、大きさに驚く姿が見られた。 匂いを嗅いでみたり、「きったらなみだでるんやで」と他児と話す姿も見られた。
【 ひまわりの種まき 】
自分で作った植木鉢にひまわりの種をまいた。まずは肥料を混ぜた土を入れていくが、量を考えながら入れる姿が見られた。
また、手で優しく平らにし、人差し指の第一関節を目安に穴を掘った。
丁寧に取り組んでいく子どもたちであった。
種を見ると「みたことある!」と話すと同時に「小さいな」と落とさな いように大事に扱っていた。
成長をとても楽しみにしている様子が伺えた。
【 苗の購入 】
(トマト・ピーマン・とうもろこし・きゅうり・なすび・いも・空中栽培のトマト・スイカを購入する)
片道30分の苗屋さんに野菜の苗を買いに行く。  
お店の中は沢山の苗があり葉の違いを観察したり、何の野菜の苗かを考えたりと興味津々で眺める子どもたちであった。  
また、お店の人が水をあげるタイミングや、収穫の目安など子どもたち に分かりやすく教えて下さりしっかり覚えて帰っていた。
【 野菜の苗植え 】
さつまいもの苗を植える。
第五中学校の先生が子どもたちが植えやすい様に環境を整えて下さっていた。
苗屋さんで教えてもらった事を思い出し、葉が出る様に横に倒して土をかけていく子どもたちであったが、土の掘り方が浅かったり、葉が埋まっていたりと再度植え直す姿も見られた。
また、同時にスイカの苗を観察した。
(写真右)“こんなに小さな苗から大きなスイカが出来るのか”と不思議そうに眺める子どもたちであった。
どこからスイカのツルが伸びてくるのか他児と話し合っていた。
【 野菜の苗植え 】
グループに分かれ、それぞれ野菜の苗を植える。
苗が入っているポットの底を切りポットのまま土に植える仮植えを行う。
苗が折れないように慎重に、グループで協力しながら取り組む姿が見られた。  
また、苗だけでは何の野菜か分かりにくいという事で、子どもたちが野菜の名前を書いたプレートを製作した。  
グループで体操の後などに水やりを行う。(この時期は涼しかった為朝のみ水やりをした。)
〇6月
【 綿の種まき 】
黒い小さな種をみて、「これがわた」と驚く子どもたちは、不思議そうに種を観察していた。
種の中にふわふわの綿が入っていると想像する子どももいた。  
成長を楽しみに水やりをする子どもたちであった。
【 さつまいも、スイカの苗観察 】
中学校にスイカの様子を観察しに行くと、とても成長したスイカに驚き、嬉しそうな表情が見られた。
また、沢山伸びたツルの中から小さなスイカの実を発見し喜ぶ姿が見られた。
まだまだ色は薄くしま模様もはっきりしないスイカを見て、どのくらい大きくなるのか期待感を持つ子どもたちであった。
さつまいも畑(写真)の成長にも「すごい」「はやくいもほりしたいな」と期待を膨らませる子どもたちであった。一本の苗からの成長に関心し観察していた。
 
【 じゃがいも、びわの収穫 】
中学校で育てられたじゃがいも、びわの収穫をさせて頂く。
じゃがいもに葉っぱがついているのを初めて見る子どもが多かった。
手で土を探り、じゃがいもを見つけた時の喜びを味わう様子が伺えた。
びわの収穫では、匂いを嗅ぎ「あまいにおいがする」「たべたいわ」と話して嬉しそうに収穫していた。
〇7月
子どもたちがキュウリのツルが細かくクルクルなっている事を発見した。
不思議そうに引っ張る姿が見られた。
【 野菜の観察、収穫 】

水やりをするたびに野菜の成長、変化に気付き喜ぶ子どもたちであった。
また、野菜の大きさや色を見て「もうちょっとかな」と考え、収穫時期を伺う姿も見られた。
真っ赤に色付いたトマトや、まるまる太ったなすびを見つけると、上手にそして慎重に野菜を収穫していた。
野菜を収穫した事で、「はやくクッキングしたいな」「なにつくるの?」とクッキングへの期待感もより一層増し、楽しみにする子どもたちであった。

     
【 雑草抜き 】
綿も芽を出し、可愛らしい葉っぱに興味津々で観察する子どもたちであった。 もっと大きくなる様にと、子どもたちが雑草を抜き、手入れをする姿から子どもたちの優しさを感じた。
【 空中トマトの栽培 】
テラスで育てていた空中トマトの苗にも実がなり毎日様子を見守っていた。
赤い実を見つけると「せんせいとりたい!」と他児と協力して収穫する姿が見られた。
【 トウモロコシの皮剥き 】
収穫したトウモロコシの皮剥きにグループで協力して取り組んだ。
中身がどうなっているか分からない事にワクワクした気持ちで皮を剥いていく子どもたちであった。
皮が何枚も重なっている事や皮に細かい線が入っている事など発見した事を他児や保育士に話す姿が見られた。
中身は、粒の大きさがまばらだったり、しなびていたりと大きなトウモロコシではなかったが、自分たちで育てたという達成感を 味わい、嬉しそうに「あまいにおいする」と匂いを嗅ぐ姿が見られた。
【 スイカの収穫 】
第五中学校にてスイカの収穫を行う。
とても立派なスイカが出来ており、子どもたちも興味津々で見ていた。
収穫するとスイカの下にわらで作られたスイカのベッドがあり、子どもたちも不思議そうにしていた。 中学校の先生がスイカに傷が付かない様に作って下さった物で、とても温かさを感じた。
スイカをじっくりと観察した。その中で、黒いしま模様が真っ直ぐではない事を発見していた。
また、しま模様が何本あるのか数えてみたり、スイカに耳を当ててみるなど とても興味を持っていた。おやつでスイカを 頂いた際は、「あまい」ととてもおいしそうにスイカを食べる子どもたちであった。
   
【 クッキング(ピザ作り) 】
収穫した野菜を使用し、ピザ作りを行う。
細かく野菜を切っていき、餃子の皮にケチャップなどを付けて盛り付けた。
ピーマンの断面を見ながら「たねがいっぱい」と手で種を取っていき、柔らかくて切りにくいトマトに苦戦していた。
野菜が苦手な子どもも自分で作った物になると喜んで食べていた。
野菜の量も自分で調節が出来るのだが、みんな野菜を沢山盛り付ける姿が見られた。
「おいしい」と野菜を味わいながら満面の笑みで食べる子どもたちであった。
 
〇8月
【 とうもろこしの皮で三つ編み 】
乾燥したトウモロコシの皮を使い三つ編みをした。
指先を器用に使いながら集中して取り組む子どもたちであった。
三つ編みした物はリースにし室内に飾った。
〇9月
【 ひまわりの観察 】
育てていたひまわりの花が開いた。
朝、登園すると花の様子を見に行く子どもたちであった。
葉に穴が開き、小さな虫が付いている事を発見していた。
ひまわりが枯れないようにと他児と協力してひまわりの手入れをする姿が見られた。 園庭に出た際には、「みずやりしたい」と積極的に水やりをする子どもたちであった。
【 綿の観察 】
綿の実が出来ている事を発見する。
まだ、白い綿が出来るという事が想像出来ない様子であったが沢山の実に期待感を抱く子どもたちであった。
 
 
【 ひまわり片付け 】
ひまわりの時期も終わり、皆で片付けをした。枯れたひまわりも大切に扱う姿が見られた。
【 コスモスの苗植え 】
コスモスの苗は細く、とても慎重に持つ子どもたちであった。
苗が倒れないように丁寧に土をかぶせていた。
水をあげる際は、苗が倒れないように少しずつ優しく水をあげる姿が見られた。
〇10月
【 芋掘り 】
自分たちが育てたさつまいもが、どれだけ大きくなっているのかという期待を胸に、芋掘りを行う。
土を掘り、中からさつまいもが出てくるたびに、「あったよ」と嬉しそうに保育士や友達に伝え、喜びを共有する姿が見られた。
さつまいもの数を数え、100個以上のさつまいもが育っていた事に驚く子どもたちであった。
【 クッキング(スイートポテト作り) 】
 芋掘りで収穫したさつまいもを使って、うぐいすクラブの方たちと一緒にスイートポテト作りを行う。 さつまいもを潰す時には他児と役割を分担し、丁寧に取り組む事が出来ていた。
途中、匂いを嗅いでみたり、気付いた事を個々に会話する姿も見られた。
おやつで完成したスイートポテトを食べるが、「おいしい」と言いながら口いっぱいに頬張る子どもたちであった。
また女児の中には、自由遊びの際に、スイートポテトの作り方や、作る時に使用した器具の名前を保育士に確認し、自分たちでレシピを作成する姿も見られた。
〇11月
【 玉ねぎの苗植え 】
第五中学校の先生に呼んで頂き、玉ねぎの苗植えを体験させてもらう。
細い苗を一人一本手に持ち、「ここから玉ねぎが出来るんや」と不思議そうに見つめる姿が見られた。
人差し指を使い、そっと土を掛ける。
はと組が収穫する事は出来ないが、どんな玉ねぎへと成長するのかと想像し楽しんでいた。
〇12月
【 大根抜き 】
第五中学校の先生が育てた大根の収穫を体験させて頂く。
大きな大根の葉がたくさん土から出ており、早く抜いてみたいと期待に胸を膨らませる子どもたちであった。
大きな葉を見て勢いよく抜く子ども、そっと丁寧に抜く子ども、様々な姿見られた。土の中から大きな大根が顔を出し、「でかい」と驚いたり、喜んだりしていた。
匂いを嗅ぐ子どももいた。
【 綿の収穫 】
白い綿が出来ており、喜んで収穫する。
「ふわふわや」「気持ちいいー」等、感じた事を他児と会話する姿が見られた。
保育士が何も言わなくても大事そうに手に持ち、丁寧に扱う事が出来ていた。
【 製作(クリスマス製作) 】
収穫した綿を使い、クリスマス製作を行う。
子どもたちが布で作ったツリーに、雪に見立てる綿を自由に貼り付けていく。
自分たちで育てた綿を使える事が嬉しいようで、どんどん貼り付ける姿が見られた。
また、クラスで一つの大きいクリスマスツリーを作り、そこにも綿を貼り楽しむ。
【 ミュージックフェア 】
はと組の研究テーマ“栽培活動”をもとに、表現遊びを行う。
子どもたちが植物を決め、歌で育てる。
実際に経験した事を活かして表現遊びをする事が出来た。
〇1月
【 綿の収穫、片付け、種抜き 】
綿の時期も終わりに近づき、最後の収穫を行う。
枯れてしまっており、少し寂しそうな表も伺えた沢山の綿を付けてくれた事に感謝し後片付けをする。 綿の中にある種を取る。
周りにある綿がしっかりと種を覆っている為、種を綺麗に取るのに苦戦する姿も見られた。
「かたい」と言いながらも集中して種を取る。
種を見て「5月に蒔いた種と同じだ」という事に気付く。蒔いた種から綿が出来、その綿からまた種が取れる、こうして繋がっていくんだという事を学んだ様子であった。
   
 
〇まとめ
 一年間を通して、様々な栽培活動を行う。
自分たちで育て、収穫する事で、食べ物への感謝の気持ちが育っていた。
長い期間大切に育て、収穫する人・それを運ぶ人・料理する人たちがいる、沢山の人たちの手によって、今、自分たちが食事する事が出来ているという事をこの一年で学ぶ姿が見られた。
生きる為には食べないといけない、しかし食事する事が当たり前の事ではないという事を、栽培活動を通して感じる事が出来ていた様に思う。
毎日水やりをしたり、手入れをしたり、自分たちが手を加えてあげないと枯れてしまう、という事を思いながら、一人ひとりが責任を持って活動に取り組む姿が見られた。
また、今回の栽培活動の中で、沢山の人たちとの関わりが見られた。
苗屋さんは丁寧に植え方や育て方を教えてくれ、第五中学校の先生には、さつまいもやスイカを育てる場所を貸して頂き、水やりや手入れもして下さった。
また、様々な食物の収穫にも呼んで頂く等、保育園だけでは出来ない様な体験をさせて頂いた。
改めて地域の方との繋がりや人の温かさを感じる事が出来た。
これらの経験から、人や動物・食物を大切にする心、思いやる気持ちが子どもたちに育っているように感じた。