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平成29年度研究記録・・・
平成29年度 つばめ組・2歳児 研究発表
テーマ 『集団遊び』
〇はじめに
昨年度より少しずつ友だちとの関わりが持てるようになってきており、集団で過ごす・遊ぶ事の成長を見ていきたいと思い、研究テーマにした。
一年間を前期(4〜7月)中期(8〜11月)後期(12月〜3月)に分けて子どもの成長・変化を観察しまとめた。
前期(4月〜7月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
散歩、くまさんくまさん、ひらいたひらいた、むっくりくまさん、しっぽ取りゲーム、あぶくたった、室内かくれんぼ(人形使用) 
散歩
進級に伴う、新しい環境への変化で様子を伺う子どもの姿が見られたので、まずは日々の関わりに加え散歩での楽しい時間を共有し信頼関係を築いていく事から始めた。
体力に個人差があり、3歳児クラスの子どもたちと手を繋いでもらい合同で散歩に行った。
新入園児が慣れない環境のため、手を離して行こうとしたり、並んで歩けなかったりと集団での散歩に慣れない姿も多く見られた。
散策中は個々に楽しむ姿が多く、友達との関わりはあまり見られなかった。桜を見たり虫を見つけたりと保育士の声掛けには興味を示して集まって皆で見ていた。
4月5月の散歩では子ども同士の関係よりも保育士と子どもの関係がより築かれた様に思う。
6月7月になると散歩の途中にみんなで表現遊び、集団遊び(むっくりくまさん等)をして楽しむ姿も見られる様になった。
 
○くまさんくまさん
本来は縄跳びをしながら行うものだが2歳児クラスには難しいので、まずは絵本から入った。
親しんだところで「くまさんくまさん」の歌に合わせて体を動かした。
片足を上げたり両手をついたりと一つ一つの動きをするたびに笑い声が聞こえたりと楽しんで遊んでいた。
二人組で向い合せて出来たらと思い 行ってみたが、リズムに合わせて動作をするのは思って いたよりも難しく、上手く出来なかった。
 
○ひらいたひらいた
難しいルールもなく皆で楽しめるように「ひらいたひらいた」を行った。みんなで手を繋いで一つの大きな円になるのに時間がかかっていた。しかし、歌いだすと興味を持って参加していた。
○むっくりくまさん
「ひらいたひらいた」を何度かみんなで円になるという事を行っていたので大丈夫だと思っっていたが、室内と園庭とでは広さも違い周囲への興味もあるので円になるだけで大変だった。
そこで、水線で円を描き視覚的にも解りやすくし円になれるようにして取り組んだ。
円になってからはルールも解りやすくなり楽しんで参加する姿が見られ、くま役が起きると喜んで逃げていた。
何度か行ううちに水線なしでも円になれるようになっていった。
また、初めの頃は1回して終わっていたが5月6月には2回続けて行っても集中して取り組めていた。
6月後半7月になると3回続けて遊べていた。
また、自由遊び時に「むっくりくまさんしよう」と保育士に誘いに来る子どももいて、数名と保育士で遊びを楽しむ事もあった。
○しっぽ取りゲーム
子どもたちにも解りやすい様に、初めは保育士がしっぽをつけて子どもたち全員で追いかけるというルールで行った。
1回目は遊びのルールの理解には個人差があり、何となく一緒になって走っている子もいれば必死にしっぽを取ろうとする子もいた。
しかし、何度か行ううちにルールも理解して遊びを楽しむようになった。“追いかける”という遊びは皆が楽しんで参加出来ていた様に思う。
また、ルールが解らない子も周りの友達の動きを見て走り出したり、保育士を追いかけたりして、友達の動きで理解している面も見られた。
皆で一緒に遊んでいるという感覚も感じる事が出来ていた様に思う。
子どもたちがしっぽをつけて保育士が追いかけるパターンも行った。
保育士を追いかけていたななごりもあってか自分にしっぽが付いていても友達のしっぽを取ろうとする姿も見られた。
しっぽを取られたらアウトというルールを理解するのにも個人差があり、取られても走り続ける姿も見られた。
前期では集中が切れて1・2回で終わる事が多かった。
○あぶくたった
まずは、数名の子どもと保育士とで「トントントン何の音」のやり取りを楽しむ中で子どもたちにも少しずつ遊びを広めていった。
6月は園庭で全員が円になるのも少しスムーズに出来る様になっていた。
皆で(煮た豆を戸棚に入れるところ)(お家に帰ってご飯を食べ、歯を磨いたりするところ)が楽しい様で初めから積極的に取り組む姿が見られた。
また「トントントン」のやり取りではいつおばけが来るのかとドキドキを楽しんでいるのが表情から伝わってきた。
鬼役を子どもも一緒にしたがるようになったので行ってみるが、実際すると何を言おうか悩んだり恥ずかしがったりして保育士が代弁する事がほとんどだった。
 
○室内かくれんぼ(人形使用)
室内で保育士がぬいぐるみを隠して子どもたちが探すというルールで取り組み、皆で楽しんでいた。
7月になり数名の子どもたちが、ぬいぐるみを隠して探すという取り組みをしたが、どこに隠したのかすぐに伝え、ルールは理解出来ていない様であった。
 
U期(8月〜12月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
しっぽ取りゲーム、あぶくたった、フープ色鬼、椅子取りゲーム(全員座れる)、かくれんぼ、大縄(波打つ縄をジャンプ、踏む、通り抜け)
○しっぽ取りゲーム
繰り返し遊ぶ事で、少しずつルールが解り始め、子どもたちから、「しっぽ取りをしたい」とせがむ姿が見られる様になる。
この頃から、しっぽを取られないように友だちのいない所へ走ったり、しっぽが取られていないか意識して遊ぶ子どもたちであった。
前期では遊びが続かなかったが、ルールを理解する事で、皆で交代しながら集中して長い時間遊べる様になってきた。
 
○あぶくたった
初めは「なんのおと」と聞かれた事に対して、皆が口々に「風の音」
「車の音」などと言い、
役割が解っていなかったが、次第に遊びが分かってきた子どもたちから
「○○くん言わないよ、○○ちゃんが言うんやで」と知らせてあげて、
掛け声のやり取りを楽しめるようになってきた。
また、友達をだまそうと、「お、お、お、おにぎりを食べる音」など、
想像を膨らませて遊べるようになる等、変化が見られた。
 
○フープ色鬼
ルールが分からず色を言われても、違う色のフープに入る子どもたちが多くいた。
また、色のフープに入ったのに、すぐに違う色に移動する姿も見られ、自由に動く子どもたちであった。この頃は、フープに入ることよりもみんなで声を揃えて「いろいろ何色」と尋ねる事を楽しんでいる様子であった。
○椅子取りゲーム(全員座る)
9月頃には保育士の説明を聞けるようになっていたので、ルールを理解する事も早く、興味を持って遊びに参加していた。
音楽が流れると、座るという事もよく解っていたが、もともと座っていた所にまた戻って座ろうとする子どもが多く、椅子の取り合いになる事が度々おきた。
 
○かくれんぼ
前期は隠した子どもが「こっちこっち」と教えようとする姿が見られ、役割があまり理解出来ていなかったが、かくれんぼの遊びに慣れてくると、鬼役と隠れる側に分かれて「もういいかい」「もういいよ」のやりとりを楽しみながら遊べる様になってきた。
人形を使ったかくれんぼが上手く出来るようになったので園庭で行ってみる。
広い園庭のどこに隠れようか自分で考え、鬼が見つけに行くまで、息をひそめて様子を伺う子どもや、「一緒に隠れよう」と言って友達を誘う姿も見られる様になる。
見つかる前に自分から出てきてしまう子どもが数名いる。
11月には、室内に人形を隠した子どもは、他児が見つけるまで黙って見守るようになり、あまりにも見つけられない様子を見かねて「こっちらへん」と言って、答えではなくヒントを出せる様になる等、上手に遊ぶ姿が見られる様になる。
 
○大縄跳び
8月頃から大縄を楽しむが、やりたい気持ちが先立ちそれぞれが様々な場所から縄に向かうためトラブルも多く、すぐに飽きてしまっていた。
遊びを楽しむために数名ずつ取り組める様にすると、落ち着いて遊びに参加出来る様になり、繰り返し楽しんだり出来た喜びを感じられるようになった。
他児の姿も見るよう促す事で次第に皆で楽しめる様になってきた。
10月頃には波打つ縄をジャンプしたり踏んだりと、縄を見ながら集中して遊ぶ姿が見られた。
通り抜けでは、縄が当たる事を怖がらずに、どんどん走って通り抜けていた。
 
V期(1月〜3月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
フープ色鬼・大縄(通り抜け・おおなみこなみ)・椅子取りゲーム(通常ルール)・鬼ごっこ・お店屋さんごっこ・かごめかごめ・お茶を飲みに来てください・もぐらどん・ほたるこい・なべなべそこぬけ
○フープ鬼
中期ではルールの理解が難しかったため後期では2グループに分かれて遊ぶ事から始めた。
少人数にした事で保育士の声が届くようになりルールを理解し始め、言われた色のフラフープへ入りに行く様になる。
約2名は色は理解しているものの「言われた色のフラフープへ入りに行く」という事が理解出来ずであった。
繰り返し楽しむ中で、後半には全員がルールを理解して楽しめる様になり、2グループに分かれず全員で楽しむ事、また鬼役とフープに入る役どちらも楽しむ事が出来る様になった。
○大縄(通り抜け・おおなみこなみ)
中期は縄を気にせずに走り抜けていたが、後期になるとタイミングを見始め、躊躇する子どもも出てきた。
保育士や友だちと手を繋いで挑戦する事で「出来た」と喜び、自信となり次からは一人で挑戦する姿が見られた。
「おおなみこなみ」は一定の場所で繰り返しジャンプすることが難しく、しっかり縄を見て繰り返しジャンプが出来るのはまだ数名である。
それでも跳ぶたびに定位置へ戻ろうとする姿も見られ意欲的に取り組む。
大縄を楽しむ中で、跳んだら回って戻り列に並ぶという事も少しずつ学んでいた。
○鬼ごっこ
前期からしっぽ取りを楽しんでいた事で鬼ごっこの理解も早く、鬼役の子ども・捕まった子どもは帽子を白にして追いかけ楽しむ事が、 初めの頃から出来た。
体力がついている事もあり、園庭やシェルシアターでもよく走り長時間楽しむ事が出来る。
 
椅子取りゲーム(通常ルール)
12月頃には空いている椅子が見つけられなかったり座れなくて泣いてしまう姿や、同時に椅子に座り負けてしまって悔し涙を流す姿が見られていた。
しかし隣の椅子が空いていると「ここあいてるよ」と友だちに必死になって教えてあげ、皆で楽しもうとする姿勢も見られる。
繰り返し楽しむ中で曲が流れている間おかしな顔をしながら歩き、応援席の友だちを笑わせる子どもが出てくるが、曲はきちんと聞いており座る事が出来る。
応援席の子どももそんな友だちを楽しんで応援し最後まで遊びに参加する事が出来た。
2月頃には座れず悔しくても泣くのをぐっと堪えて応援席に向かったり、「次がんばる」とすぐに気持ちを切り替えられる様になった。
最後に残る子どもはその時によって違うが、歩いている時にも椅子にぴったりとくっつき椅子を見つめながら取り組む姿もあり成長が見られる。
○わらべうた遊び
「もぐらどん」や「ほたるこい」や「なべなべそこぬけ」「おてらのおしょうさん」「ウチノウラノ」は子どもたちの様子をみて追加した。
「もぐらどん」のもぐらの役割交代遊びは、もぐらが目を覚ました時も手を放さずに輪になったまま広がって逃げる事が出来た。
もぐら役も全員が上手に出来て、歌を覚えるのも早かった。
ハンカチを使用し「ほたるこい」では歌に合わせて友だちにハンカチを手渡し交代する。
それぞれがまだしていない友だちを探して手渡そうとし、交代出来ない子もおらずスムーズに楽しむ事が出来た。
「なべなべそこぬけ」は2人ペアから始め、徐々に人数を増やしていく。
初めは回り方が分からず上手くいかない事も多かったが繰り返し楽しむ中で保育士の声掛けを聞き考えながらゆっくり回ろうとする様になり、成功する事が増えてきた。
○お店屋さんごっこ
1月にままごとコーナーの玩具を使いお店屋さんごっこを楽しんだ。
財布とお金を準備し、店員役と客役を楽しむが、中にはお金だけを渡して帰ってきたり、お金を渡さずに商品を買ってくる子どももいた。子どもたち自身はとても喜び「またやりたい」と意欲的であった。
後日、子どもたちと共にピザ・ビスケット・キャンディーを製作した。 製作した食べ物、スーパーのレジ袋、財布、お金、エプロンを準備して行った。
レジ袋などから普段の買い物がイメージ出来た様で、お金や商品のやりとりが上手に出来るようになり、前回と違いお金が3枚だと3つの商品を買ってくる子どもがほとんどであった。
買ったものを見せ合い喜ぶ。
また、それぞれに「○○を買ってきて」と頼んでみると、 きちんと頼まれたものを購入し、「ありがとう」 とお礼を言う姿も見られた。
 
<普段の姿・成長>
全体で行う集団遊び以外でも、自然と集団で遊ぶ姿も見られるようになった。
数名で一つの物を作ったり、一緒にイメージを膨らませて玩具を組み合わせ楽しんだりする様になる。
 
〇まとめ
4月当初は友達と関わって遊ぶのは進級児4名くらいで、それぞれが個人で遊びを楽しんでいた。また新入園児が加わったことで在園児も落ち着きがなくなり、保育士の話や絵本すらも聞けない状態であった。 始めは他クラスに協力してもらいながら散歩に行きスキンシップを図ろうとしたが、手を繋いで歩く事が出来ず、集団遊びも遊びにならなかった。
集団遊びを研究テーマにあげたが、この頃は、クラスがまとまって遊ぶ事など想像もつかなかった。
日々の中で時間をかけて保育士との信頼関係を築き、繰り返し集団遊びを取り入れた事で、友だちと遊ぶ楽しさを少しずつ感じられる様になったと思う。
秋冬くらいから少しずつ落ち着き始め、クラスとしてのまとまりが見られる様になった。
こちらが思っているよりも遊びの理解が早かったり、子ども同士で遊びを発展させて頂く様になり、驚かされる事が多くなってきた。 そんな子どもたちの成長を受けて予定していなかった集団遊びも沢山取り入れ、全員で長時間楽しめるまでになった。
子どもたちの関わりが増えた事で、集団としてもまとまりを持てる様になり、この一年でとても大きな成長を感じられた。