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平成30年度 研究記録・・・
平成30年度 ひよこ組・1歳児 研究発表
テーマ『リズム遊び』
〇はじめに
 1歳児の一年間は進級や入園による新しい生活を迎える不安の中で、集団生活からたくさんの刺激を受けながら心身共に著しく成長する大切な時期である。
 さまざまな素材に触れ遊びを楽しむ事で安心感を与え、興味・好奇心を育み、子どもたちにとって生活がさらに楽しい時間になるよう毎月違った素材に触れて楽しむ活動に取り組んだ。
◎前期(4〜8月)
 

内容

説明

ぶらぶらポン

「ぶらぶら〜」と両手を揺らし、指示された体の部位を触る

さよならのうた

両手をつなぎ
「さよなら あんころもち またきなこ さようなら」と歌い、
最後に抱きしめる

カエル

両手両足を地面に着き、曲に合わせてジャンプする

つばめ

両手を広げて、曲に合わせて自由に歩く(走る)

あひる

両足を地面に着き、しゃがんだ状態で曲に合わせて歩く

カスタネット

カエルの歌など簡単な曲に合わせて音を鳴らす

(さかなのカスタネット使用)

めだか

両手を合わせて腕を伸ばした状態で曲に合わせて歩く(走る)

三輪車

仰向けに寝て、足を上げて三輪車をこぐように動かす

7・8

汽車

「しゅっしゅっポッポ」と言いながら
両腕を車輪のように動かし、汽笛が鳴ると地面に伏せる

おへんじ

リズムに合わせて「は・あ・い」と返事する

《4月》ぶらぶらポン・さよならのうた・カエル
 
・クラスの半数以上が園生活に慣れていない新入園児という事で、手遊びや季節の歌を中心に取り入れた。保育教諭の声に耳を傾けたり、体を揺らしていた。
・ぶらぶらポンは、保育教諭が両手を揺らすと見よう見まねで同じように揺らし体の部位を指示すると、数人は保育教諭と同じ所を触る事が出来た。
・何度か行うと、頭・耳・お腹などに触れるようになり「ぶらぶら〜」と子どもたちも口ずさみながら行うようになった。
・さよならのうたは、最初手を繋ぐことを嫌がり参加しない子どもも多くいたが、無理強いせずに保育教諭と一緒に行うようにした。
・「さよなら〜」と歌をうたいながら保育教諭も一緒に何度か楽しむと、子ども同士で手を繋ぎ、顔を見合わせて互いに笑い合う姿が見られるようになった。
・最後のハグは嫌がることなく触れ合う事が出来ていた。
・カエルは、初めは、音が流れると体を上下に揺らしたり、立ったまま見つめている子どもがほとんどだった。
・保育教諭がカエルのように両足を床につけてジャンプをする姿を見て同じようにジャンプをし始める。
・後半はカエルの歌が流れるとリズムに合わせてジャンプを積極的にする姿が見られるようになった。
 
《5月》つばめ・あひる・カスタネット(さかな)
 
・つばめは、保育教諭が手を横に広げて動く姿を見て同じ様に手を自由に動き楽しむ姿が見られた。
・気分が高まるとつばめの姿にならずに保育室を走ったりする姿も見られた。
・後半になると広げている両手が友達に当たらないように周りを見ながら進もうとする姿も見られた。
・あひるは、高月齢児は何度か行うとしゃがんだ状態で歩く事が出来たが、低月齢児はしゃがんだ状態で歩くという事が難しく座り込む子どもが多くいた。
・しゃがんで歩けるようになった所で何度か繰り返して曲を弾く様にした。途中で座り込む事もなく曲が終わるまで歩いていた。
・カスタネットは普段目にしない物だったので、興味を示す姿が見られた。
・実際にカスタネットを渡すと音を鳴らし、楽しむ姿が見られ繰り返し叩いていた。
・曲を流すと嬉しそうにカスタネットを叩く。中にはリズム打ちが出来ている子どももいた。
《6月》めだか・三輪車
 
・めだかは、つばめと手の位置が違うだけなので、保育教諭が最初に見本で行うとすぐに両手を合わせて前に出し、スムーズに動きを楽しんでいた。
・後半では曲が流れると「めだかさん」と言ったり「すいすい」と口ずさみながら楽しく体を動かす姿が見られた。
・三輪車は、保育教諭が見本となると数名は寝転がり足を上に上げようとしていたが足を上げる事が難しい子どもは、保育教諭が足を持ちリズムに合わせて行うようにした。
・音が鳴っても寝転がる事もせず立ったまま見ている子どももいたが、後半には曲が鳴ると寝転がり足を上げようとする姿が多く見られた。
・初めは足を上げる事が精一杯だった子どもも、何度か楽しむうちにスムーズに足を上げる事が出来るようになり、リズムに合わせて動かそうとしていた。
《7月》汽車・おへんじ
 
・汽車では保育教諭の真似をして歩く姿も見られたが、ほとんどの子どもが汽車のように腕を動かすのではなく、普通に歩いていた。
・汽笛の音が鳴るとその音に反応して伏せるというより保育教諭が伏せたのを見て、真似をする子どもが多かった。また低月齢児のほとんどは汽笛の音が鳴っても立ったままであった。
・おへんじではリズムに合わせて手拍子をする事は出来ていたが「は・あ・い」とリズムに合わせて返事することは難しそうだった。また低月齢児は自分が名前を呼ばれた事が分からず、名前を呼ばれても返事をしない姿も見られた。
《8月》汽車・おへんじ
 
・汽車では子どもたち自身が「しゅしゅぽっぽ」と言って汽車になりきって楽しむ姿が見られるようになった。また速さを変えて音を鳴らすと、しっかりと音を聞いて汽車のスピードを変える姿も見られた。
・汽笛の音が鳴った時も保育教諭よりも先に伏せる姿が多く、しっかり音を聞いて体を動かしていた。
・おへんじでは高月齢児を中心に少しずつ「は・あ・い」と言えるようになってきた。
また低月齢児もリズムに合わせては難しいが自分の名前の時に返事が出来るようになり、声には出さないが「は・あ・い」と口を動かす姿が見られるようになった。
・「は・あ・い」と返事する事が楽しく、他児の名前が呼ばれている時でもずっと返事をしたり、その友達を見てわざと真似をして返事するなど様々な姿が見られた。
◎前期(4〜8月)
 

とんぼ

両手を広げて曲が聞こえている間は自由に動き、
曲が止まると片足でバランスを保ちながら止まる

たぬきさん

「ぽんぽこぽん」と言いながら曲に合わせて
おなかに手を当てながら歩く

マラカス

様々な曲に合わせて自由に音を鳴らす

(パイナップルのマラカスを使用する)

10

うさぎとび

両手で頭の上に耳を作り、その場でジャンプをする

うま

手を前へ伸ばし、ギャロップステップで前へ進む

マラカス

様々な曲に合わせて自由に音を鳴らす (ペットボトルにどんぐりを入れた手作りのマラカスを使用する)

11

あたま・かた・ひざ・ポン

リズムに合わせて頭・肩・膝を順番に触る

 
《9月》とんぼ・たぬき・マラカス(パイナップル)
 
・とんぼではしっかりと手を横に広げてとんぼのように歩く姿が多く見られた。
・最後の音が鳴ると両手を広げて片足を上げてバランスよく止まろうとするが、片足を上げるのは難しくてつま先を着いて止まろうとする子どもが多く、また中には歩き続ける子どももいた。
・たぬきでは保育教諭の動きを見て、手をおなかに当てて動く姿が見られたが、子どもたち自身が音に反応して動く事は少し難しそうだった。
・初めはリズムに合わせておなかを叩く事も少し難しそうだったが慣れてくると「ぽんぽこぽん」と言いながらリズム良く叩く姿が見られた。
・楽器ではほとんどの子どもが興味を示したが、音を鳴らさずパイナップルの形をしたマラカスを不思議そうに眺めたり、大事そうに手で持っていたりする姿も見られた。保育教諭が鳴らしているのを見て、少しずつ音を鳴らして楽しむが、ただリズムに合わせて音を鳴らす事はまだ難しそうであった。
《10月》うさぎとび・うま・マラカス(手作り)
・うさぎとびは、今までの動きが歩いたり小走りしたりする事ばかりだったため、
ジャンプするよりも前に進んで歩こうとする子どもがほとんどであった。
・保育教諭が見本となり、その場で曲に合わせてジャンプするがそれでもジャンプしながら進んだり、
ジャンプせず動いたりする子どもが多く、またみんながうさぎになっている中でも初めての動きに興味を示さず、外から見ているだけの子どももいた。
・前半はうさぎの曲に合わせて体を動かして楽しんだが、徐々にその場でジャンプ出来る様になり
「うさぎの曲は跳ぶ」という事が身に付いてきた。
・うまは、ギャロップステップで進むが、保育教諭を見てすぐにステップが真似出来た子どもが一人いたので、見本として前でやってもらう。
真似をして楽しむ子どもと関係なく走り回る子どもなど様々な姿が見られた。
・両手を前にして進むため、意識してギャロップステップをしていなくても、それとなくステップが出来る様になる子どもも増え、途中「ヘイ」と元気よく掛け声をする事でより楽しめていた。
・マラカス作りでは、ペットボトルにどんぐりを入れる際に「ポトン」「カラン」など様々な音に触れ、「○○言ったな」「入った」など自発的に言葉が出てきたり、発語が一語文・二語文の子どもたちも擬音語を繰り返し言い、言葉を引き出す事にも繋がった。
・マラカスが完成するとすぐに鳴らしたくなり、振りながら踊って見せたり、歌に合わせてリズム打ちしたりと思い思いに表現していた。
・全員でマラカスを持って歌に合わせる時は、関係なく振り続ける子どももいたが、中には歌(リズム)に合わせて鳴らそうとする姿もあった。
・10月になるとリズム遊びが子どもたちにも定着し、キーボードが準備されると立ち上がったり、曲を聴いたりするだけで子どもたちが反応して動けるようになり、保育教諭の見本がなくても楽しめるようになった。
・体も動きも大きくなり、全員での取り組みが危なくなってきたため、グループに分けて順番に行うようにしたが、自分のグループが分からずずっと動いたり、逆に座っていたりと様々だった。
 

《11月》あたま・かた・ひざ・ポン
 
・体の部位を覚えるのと共に、すばやく反応出来るようにと取り入れる。
手遊びでも行っていたため、子どもたちは保育教諭の手の動きを真似ながら体を触り楽しんでいた。
・自分でリズムに合わせて体を触ったり、適当に触って雰囲気を楽しんだり様々であったが、繰り返し行う事で動きが身に付き、また体の部位の認識も出来てきた。
・ぶらぶらポンでも保育教諭が体の部位を触らなくても、自分たちで反応して触れる様になり少しずつ変化も見られた。
・頭、肩、膝、目、耳、鼻、口だけでなく、他の部位も出す事で
その部位の存在を知り、覚える事が出来るようになってきた。
・汽車は伏せることが楽しく、この時期になるとみんなが上手に伏せて
寝転び、また動き出すのを楽しみにしていた。
 

《12月》椅子とりゲーム(全員が座る) あたま・かた・ひざ・ポン
 
・全員が座れる椅子とりゲームは、丸く用意されたウレタンブロックを見て楽しみにしていたが、いざ始めると、丸の中に入ったり上に乗ろうとして、なかなか始める事が出来なかった。
・高月齢児が遊びを理解し、ウレタンブロックの周りを歩き出すと
それを真似て数人が歩き出し、椅子とりゲームが始まった。
・曲が鳴っていても気にせずウレタンブロックの中で遊んでいる
子どももいたが、曲が止まってウレタンブロックに座ったり、
また動き出したりする他児を見て、丸の中に入る子どもが
少しずつ減ってきた。
・曲が止まって座れると、友達と嬉しそうに顔を見合わせる姿も見られ、
他児の存在を意識しながら遊びを楽しんでいるのがよくわかった。
・曲を聞いて「動く・座る」という反応も少しずつ早くなり
聞くという力も少しずつ身に付いてきた。
 
◎後期(12〜3月)
 

12

椅子とりゲーム(全員が座る)

ウレタンブロックを椅子に見立てて全員が座れるよう丸く置く

あたま・かた・ひざ・ポン

リズムに合わせて頭・肩・膝を順番にすばやく触る

カラーボード

両手でカラーボードを持ち曲が止まると体の部位に当てる

楽器遊び

カスタネット、鈴、タンバリンの中から好きなものを選び、
歌に合わせて自由に音を鳴らす

2・3

ドンすわれ

低い音が鳴ると座る、高い音が鳴るとジャンプする

ストップゲーム

曲が流れている間は自由に歩き、止まると静止する

《1月》カラーボード・楽器遊び
 
・初めてカラーボードを使用した。使った事のないカラーボードに興味津々であり、カラーボードの使い方を十分に伝えると約束を守り使用する事が出来ていた。
色の違いにも興味を持ち、色の名前を答える子どももいた。
・体の部位は普段の手遊び等でよく知っていたので、保育教諭の示す部位に
すぐにカラーボードを当てる姿が見られた。
・“おしり”にカラーボードを当てるよう伝えると、上手に手を後ろに回し、当てる事が出来ていた。
・カラーボードをハンドルに見立てて車を運転する、“ねむれ”の音楽を弾くと枕に見立てる、
“あまだれぽったん”の音楽を弾くと傘に見立てる等、発想豊かに遊ぶ事が出来ていた。
・楽器遊びでは好きな楽器を選び、各グループごとに披露する。同じ楽器ばかりを使ったり、
全ての楽器を使う等、様々な姿が見られた。
・自分のグループの順番をしっかりと待つ事が出来ていた。
また、みんなの前に立つ事を嫌がったり恥ずかしがる子どもはおらず、自信を持って演奏していた。
・何の曲に合わせて楽器演奏をするか子どもたちに問いかけると、
普段保育の中で歌っている馴染みある曲が子どもたちから提案された。
   
《2月》ドンすわれ・ストップゲーム
 
・ドンすわれでは、低い音と高い音を聞き分ける。
高月齢児は、しっかりと音を聞き分けて体を動かす事が出来ていた。
・低月齢児は、周りの様子に合わせて体を動かしている姿も見られた。
・歩く音楽の中に、座る音・ジャンプする音が急に入ってくるので、耳を澄ます姿が見られる。
しかし中には楽しさから「きゃー」と言って部屋の中を走る姿も見られた。
・ストップゲームも同じく、よく耳を澄まして、ほとんどの子どもが音が止まるとピタッと体の動きを止める事が出来ていた。
・高月齢児の中には、音楽が止まった時の格好 (片足をあげたままや、両手を振っている途中)
のままで上手に止まる姿も見られた。
・この時期に椅子取りゲームを行うと、以前行った時よりもはるかに上手になっており、
以前はルールが理解出来ていなかった子どもも、今回取り組む際にはしっかりと理解して、音楽が止まると椅子に座る事が出来ていた。
・何度か繰り返していると、わざと椅子に座らずぐるぐると回ったりする子どももいたが、
ルールは理解出来ている様子である。
・おへんじでは、ほぼ全員が自分の名前を呼ばれると「は・あ・い」と返事出来る様になる。
中にはリズムに合わせて手を叩いたり「は・あ・い」とリズムに合わせて言える様になるなどそれぞれに成長が見られた。
〇まとめ
 リズム遊びを通して1年間の子どもたちの様子を見てきた。
4月当初は子どもたちの歩行が(安定している・まだ不安定である・はいはいで過ごす)など月齢に応じた様々な姿が見られたが、この1年で全員がしっかりと安定して歩いたり走ったりする事が出来るようになった。
運動の面では、しゃがんだままで移動する動きや、両足を揃えてジャンプする・手と足を同時に床につける・寝転んで両足を上げて支える・片足を上げてストップする等の動きを取り入れた。
最初は出来なかった子どももリズム遊びの中で取り入れたため、楽しみながら体を動かし、様々な筋肉の発育・バランス力に繋がったように思う。
 それらの動きが出来る様になった事で、運動遊びにも活かす事が出来た。
心身の面では、みんなで一緒に取り組む事で、自分一人だけでなく他児を意識する様にもなり、友達に当たらないように体を動かしたり、時には好きな友達と一緒に体を動かすようになった。
それは普段の生活の中でも活かされ、転んだ友達に手を差し伸べてあげる等、子どもたちの心に優しさが育っていた様に思う。
 後半にはグループごとにリズム遊びを行ったが、順番を待つ事が出来るようになった。
他児が取り組む姿を見て一緒に歌を歌ったり、自分の番では反対にみんなに見てもらえる事が嬉しかったりと自信に繋がった。
 保育の中に歌遊びや手遊びやリズム遊びなどを取り入れ、日々“音楽”に触れて過ごしてきた。
想像力・表現力・リズム感が大きく育まれ、その中でも子どもたちが何かを表現したいと思う意欲を育てる事が最も重要であると学んだ。