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平成30年度 研究記録・・・
平成30年度 つばめ組・2歳児 研究発表
テーマ 『絵本の世界』
〇はじめに
 今年度つばめ組は、「絵本の世界」を研究テーマとし、その月々に合わせた絵本を題材にし、教育・保育に取り入れた。
絵本からごっこ遊びや運動遊びなど子どもたちの遊びが広がる様に努め、成長を見守った。
 周りの友達の存在に気付き、友達を意識し始める年齢でもあり、遊びの楽しさをみんなで共有し、その中で友達を思いやる気持ちや助け合う心などが育つように 様々な絵本に触れ、豊かな想像力や発想力を培っていきたいと思った。
また、絵本ピラミッドメソッド(プロジェクトブック・衣服)も参考にしながら絵本を通して、衣服についても展開しようと考えた。
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
<4月>
・絵本を読んでお話を楽しむ 
絵本「はらぺこあおむし」
 この絵本は子どもたちが大好きなお話の一つである。0・1歳児の頃からスト―リーを音楽で聞いて
いたため体感で覚えており、読み進めていくと、お話しを歌として楽しんでいた。
子どもたちも「あおむし読んで〜」とリクエストした。

 *はらぺこあおむしが生きるために、食する姿をリズムカルに表現している事
あおむしが成長する姿に子どもたちがワクワクを感じ、歌として取り入れる事で体に物語が入り込み
子どもたちの感受性が開花した瞬間を感じる事が出来た。
○絵本「パンツのはきかた」
 この絵本を通してパンツやズボンの履き方を丁寧に伝える事が出来た。
絵本を見ながらパンツを持つ真似をし、絵本の内容に合わせてブタと一緒にパンツを履く様子を
真似して行う子どももいた。
 お着替えの時には「ブタさんと一緒だね」と絵本の事を思い出しながら履く姿が見られ、
日に日に衣服の着脱を意欲的に取り組む姿が見られるようになってきた。

  *衣服を絵本の中で取り入れる事は、想像力を豊かにし、日々繰り返し行う着脱の基礎を
   自然な形で取り入れる事が出来た。
   この時期の服装も子どもたちが絵本から学んでくれるようにと、この絵本を選択した。
 
<5月>
絵本「はらぺこあおむし」
 この絵本を題材に運動遊びを行った。子どもたちがあおむしになりきり、体を小さくして、あおむしの様にくねくねとトンネルをくぐり、さなぎになり、体を丸め固まり、最後はチョウチョに変身し、跳び箱の上からジャンプして楽しんだ。
お話と運動遊びを重ね合わせて、さなぎの部分では自ら眠ったりする姿も多く見られた。

  *絵本を見るだけではなく、体感する事で段々と成長するあおむしと自分を重ねていた。
   ここからごっこ遊びに繋いでいく。
 
<6月>
絵本「パンツのはきかた」
 「パンツのはきかた」の絵本を見本に、画用紙でブタとパンツの形を
準備して製作遊びを行った。
子どもたちは絵本を指さし、「ブタさんと一緒だね」と興味津々であった。

  製作を始めると、嬉しそうにブタに一人ひとり様々なカラフルな
パンツを履かせていた。
 
<7月>
○絵本「14ひきのせんたく」
 「14ひきのせんたく」を読み始めると興味を持ち、集中して見ていた。
絵本を読んだ後「みんなで洗濯ごっこをしよう」と声を掛けると「やったー」と嬉しそうにしていた。
タライやバケツを用意して洗濯ごっこを行った。
 タライの水に触り、気持ち良さそうにし、初めは「あーらってあーらって…」と歌を口ずさみながら
タオルを『じゃぶじゃぶ』『ゴシゴシ』と洗って楽しんでいた。
 洗ったタオルを広げて、用意していたひもに掛けて乾かした。

  *実際に使用した物はタオルであった。
   今後は衣服を洗濯し、自分の動作を言葉にする様な設定保育を行う。
<8月>
○絵本「999ひきのきょうだいのおひっこし」
「999ひきのかえる」は少し長いお話しだが、興味を持ち、
集中して聞く姿が見られた。
子どもたちから「カエル読んで〜」とリクエストが多かった。
読んでいく内に、お話の内容を覚えヘビが出てくる場面になると
ドキドキ感を味わいながらお話しを楽しんだ後、リズム遊びに展開し
子どもたちがカエルになりきり体を動かして楽しんでいた。
○絵本「14ひきのせんたく」
繰り返し絵本を楽しむ間に、絵本の中で、足で踏み洗いをしたり手で絞っている事に気付く。
洗濯ごっこでも、タライの中で踏み洗いをしたり、洗濯機のようにぐるぐると洗濯物を回したり
タオルを絞ったりする姿が見られるようになった。
 以前よりも上手にタオルを絞れるようになり「見て〜雨みたい」と喜ぶ子どもたちだった。
握力を使い、力一杯絞ろうとしていた。
 *絵本を通して見本を見せる事は、自分の服にも注目する事が出来、
  子どもたちの衣服の着脱も随分とスムーズに行えるようになった。
  場所も移動して2階のテラスで行い、広い場所なので子どもの動きもダイナミックであった。
 
<9月>
○絵本「999ひきのきょうだいのおひっこし」
 お話を楽しんだ後、大縄を蛇やトンビに見立てた運動遊びに展開した。
下からやってくる蛇はジャンプで飛び越え、上からやってくるトンビはしゃがんで避けた。
話をよく理解していた事もあり、カエルになりきって楽しみルールの理解も早かった。
状況を考えながら体を動かす事が出来ていた。
 運動会では運動棒を一本橋に見立てて渡り、跳び箱を岩に見立ててジャンプ、鉄棒をツルに見立てて
ぶら下がり、最後に蛇とトンビ(大縄)を行い、様々な運動遊びに展開し楽しんだ。
 
<10月>
○絵本「わたしのワンピース」
 初めは真っ白のワンピース、周りの景色に応じてどんどん変化していく模様に興味を示した。
雨や花や鳥など模様の変化を言葉にして表現したり、どの模様が良いかを考えて話す姿も
見られるようになった。絵画遊びに展開して楽しんだ。
真っ白なワンピースに絵の具を使ってそれぞれ好きな模様を描く。
思いのままに好きな色を選んで塗っていく子どももいれば、お話を思い出して水玉や
虹の模様の様に描く子どもの姿も見られた。
 絵本(ぱんつのはきかた)でパンツを履かせたブタと同様の形を用意し、子どもたちが顔を描き、
出来上がったワンピースを着せた。

 *子どもたちは絵本から「衣服」への意識を深めた。季節を考えると
 7月・8月に題材を選ぶと良かったと感じた。
 出来上がったワンピースと同じ形を準備したが、様々な物を選ぶなど
 の配慮が必要であった。
 
<11月>
○絵本「3匹のこぶた」
 オオカミが出てくるドキドキ感がある「3匹のこぶた」を取り入れた。
また「家を作るんだって」など子どもたちが考えながら物語を楽しむ姿が見られた。
 まず初めに広告や新聞紙を使って家作りを楽しむ事から始めた。
お話で見た藁・木・レンガの家をイメージして形にする事は難しいが、それでも家の様に仕切りを作り、屋根の様に新聞紙をかぶせ「出来た」と喜ぶ姿が見られた。
 そこにオオカミが登場し家を吹き飛ばすと「きゃ〜」と声を上げて逃げ、楽しんでいた。
その後牛乳パックを用意してみると「これも使う」と、 高月齢児は更に
「もっと強い家作る」「レンガの家作る」と考えて並べるなど積み上げて楽しんだ。
 お話を子どもたちが考え、展開出来るようになった頃に藁の家は本物の藁を準備した。
お話の世界に入り込みオオカミを怖がる子どももいたが、ほとんどはオオカミとのやりとりを楽しみ次の展開を期待する様子を見せていた。
 特にレンガの家を作る際には「重いから気を付けてね」などの言葉で重そうに腰を曲げて運ぶ様子を表現出来る子どももおり、想像力や表現力が培われていた。
○製作遊び「レンガのお家」
 屋根やレンガを貼り付けて家を作る中で隙間があると
「おおかみが入ってくる」とお話をイメージしながら進める姿が見られる。

 *12月の公開保育ミュージックフェアではお話が展開しやすく、
   子どもたちが楽しんでいた「3匹のこぶた」を取り入れる事にした。
 *藁を探したが時期的になく、藁を購入した。
  3匹のこぶたを題材に選ぶ 時は1年を通して計画が必要だと感じた。
 
<12月>
○絵本「てぶくろ」
 大きな布をてぶくろに見立ててごっこ遊びを行った。「カエルでーす」「うさぎでーす」と好きな動物 になったり、「〇〇ちゃんでーす」と自身の名前を言って楽しんでいた。
「てぶくろさん♪てぶくろさん♪」と保育教諭が歌っていると、すぐに子どもたちも歌を覚えて一緒に歌っていた。
 ミュージックフェア「3匹のこぶた」でクラス全員でごっこ遊びを楽しみ、大きな舞台でいつも通りに
楽しむ事が出来た。
 また何事にも積極的に挑戦し参加する姿も多く見られるようになった。
○絵本「七ひきのこやぎ」
 とても長いお話で、子どもたちにとっては難しい言葉や表現があったのではないかと思ったが、
物語を理解しごっこ遊びに展開する事が出来ていた。
保育教諭のオオカミと、子どもたちのこやぎとのやり取りは絵本の世界に入り込んでいる様であった。
 また絵本でこやぎが隠れるシーンから、かくれんぼにも遊びを展開した。
人形を見つける遊び、子子ども自身が隠れたり、保育教諭を探したり色々な遊び方をした。
 「3匹のこぶた」でもオオカミが出てきて、子どもたちの中で
 オオカミは「こわい」「わるい」というようなイメージとなり、
 散歩で薄暗く木の茂った道を通った時は、「オオカミいるかな」と
 お話を思い出して話したり、日常でも「オオカミ来るよ〜」と
 会話の中にオオカミが出る事が増えた。
 
<1月>
○絵本「ゆきのひのおかいもの」
 おばあさんのおつかいで、犬が肉屋や八百屋に買い物に行き、お店の様子が細かく描かれており
子どもたちのお気に入りの絵本の一つであった。
 2月のおおぞらウィークに向け、お店屋さんごっこに使用するものを製作遊びで子どもたちと作った。今回の製作遊びで初めてハサミを使用したが使い方に個人差があったので、
危険がない様に補助しながら使用した。
 
<2月>
○絵本「ゆきのひのおかいもの」
 絵本「てぶくろ」
「ゆきのひのおかいもの」の話で1月に作製した物でお店屋さんごっこを行った。
パン屋・ケーキ屋ジュース屋、そしてポテトとハンバーガーのお店は「マクドナルド」と、
様々なお店屋さんとお客さんに分かれて遊んだ。買い物後にはイートインのコーナーも作り、
食事を楽しめるようにもした。
「てぶくろ」の絵本では製作を行い、春・夏と同様にブタの衣服を製作して楽しんだ。
 
<3月>
○絵本「ねずみのでんしゃ」
 海岸沿いのお散歩時に行きは自然探索で落ち葉やどんぐり探しを楽しみ
 帰りは「ヨーイドンしよう」とかけっこをしていたが、この絵本を読んでからは、用水路の鉄柵を
線路に見立て、電車ごっこが始まった。
 一人からだんだん増え、連なって歩いていた。
 この時期の子どもたちは、連なって歩いても転んでしまう事が多いが、
連なって歩く事が出来ていた。
 
 *普段のお散歩等の教育・保育が絵本を通して自然に遊びへと
  変化していった。
  最初は個々の動きが集団としての動きに変わり他児との関わりも
  深まった様に感じた。
 
 
〇まとめ
 年間を通し「ブタ」の衣服を製作した。
春に作ったブタは絵本と同じ様にパンツに模様を描き履かせた。
夏には涼し気なワンピースを作り そして冬は寒いのでちぎり絵で服を着せ、帽子や手袋も付けた。
 ブタの衣服の製作から、季節の移り変わりを感じる事が出来たのではないかと思う。
 改めて《衣服》は想像力を豊かにする事が教育・保育を進めていく中で
解り、生きていく中で最も大切である事を子どもたちも感じた様に思えた。

またミュージックフェアで作ったレンガのお家を保育室にしばらく置いた。
子どもたちは「3匹のこぶた」がより身近に感じた様である。