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平成30年度 研究記録・・・
平成30年度 はと組・5歳児 研究発表
テーマ 『言葉から広がる保育』
◎はじめに
 4歳児では一年を通してみんなで協力すると一人では出来ない事も出来るようになる事を知り、友達との関わりに変化が見られた。
 5歳児では自分の気持ちや思いをしっかりと言葉にして、何事にも自信を持って取り組める様になって欲しいと願い、遊びを通して「言葉を使う楽しさを味わえるテーマ」にして保育を進めてきた。
  また異年齢児交流を行い「優しさ」「思いやり」の心を育み、一人ひとりの自信に繋がる様に保育に取り組んだ。
 
T期(4月〜7月
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
 
〇4月・5月 クイズ遊び
 4歳児の頃から少しずつ行っていた、クイズ遊びを楽しんだ。
まだまだ言葉の意味や問題文を最後まで聞けず答えがわからない子どもが多かったため、
耳で聞くクイズ遊びだけではなく、文字を使ってのクイズ遊びも取り入れた。
言葉やその意味を知るために「言葉集め」も同時に始めた。
◎言葉集め
←一文字を決めて知っている言葉を発表していく。
 「すいすい」「すらすら」などの擬音語を言う子どももいた。
 初めての文字集めは28個だった。

  ※人前に出て話すことが苦手な子が多いので、
   前に出て発表する方法で発言してもらうようにした。
◎文字クイズ
←目で見て考えるクイズを行う。
 @〜Dまでの問題を全て見て答えると説明するが
 「食べ物です」と書いただけで答えてしまうなど
 考えずに答えている子どももいた。
 
 
 
 穴あき文字クイズや、友達の名前を穴開きクイズにする等取り組んだ。
文字が読み書き出来る様になり、友達の文字の間違いなどに気付けるようになった。
保育教諭の真似をして、友達とホワイトボードに問題を書いてクイズを出し合う姿も見られ、クイズ遊びを楽しんでいる様子が見られたが、人前に出て話す、他クラスへのお手伝いは一人で出来ない子がほとんどであった。
 
◎かもめ組との交流
 海浜公園や散歩に出掛ける事は多かったが、あまり互いにクラスの枠を超えて関わる姿はなく
それぞれのクラスで遊んでいた。4月5月は異年齢児に興味を示す姿はほとんど見られなかった。
←二人組での遊びを提案するが、お互いが自分のクラスの友達にしか
  興味を示さず、何度も
  「かもめ組とはと組で二人組になってね」との声掛けが必要だった。
〇6月 言葉集め
 先月に引き続き言葉集めを行う。先月に取り組んでいた事もあり言葉を探す事にも意欲的である。
「文字言っていくのをやりたい」など少し時間があると子どもたちからやりたいと言う様になり、
前よりも言葉の数が増えると喜んでいた。
一人一回は発表が出来るように、順番に聞いていくなど人前で話す機会を作った。
それに伴い、朝の集いで、前に出てきて「私の名前は○○です。好きな食べ物は○○です。」
とみんなの前で話をする時間を作った。
大きな声が出せなかったり、好きな食べ物が言えないなど、まだまだ人前が苦手な姿が多く見られた。
 
◎ひばり組との交流
 お散歩に出掛け「かもめ組さんより小さいから」と歩くスピードを合わせてあげるが、
一緒に遊ぶなどの姿はあまり見られなかった。
遊ぶというよりは寄り添っているだけといった様子だった。
 
〇7月・8月 ファミリー活動

 ファミリー活動で異年齢児との関わりを楽しんだ。
担任以外の保育教諭との関わりや会話をすることも増え、少しずつお手伝いにも興味が出てきた。
しかし、自分たちからの発信は少なく、お手伝いをお願いすると
「いいよ」と快く引き受けてくれる感じだった。
ひばり組さんの子どもが困っていると「こうするんだよ」と声を掛けてあげる姿は見られた。
 ※ファミリー活動の為、言葉遊びは行っていない。

 
U期(9月〜12月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
 
〇9月 言葉合わせ
 保育教諭が決めた一文字を聞いて、4人で言葉をそろえるゲームを行う。
「あ」から始まる言葉など簡単な合わせやすい一文字でも「あり」「アイスクリーム」「あめ」など
なかなか揃わず難しそうだったので、一回目と二回目は同じ一文字にするなど合わせやすくした。
「もうなかなか揃わない」と、ただ言葉を言うのではなく友達と心を合わせないといけないと
気付ける子どももいた。
また新聞紙を使って、文字を探す遊びを取り組みに追加した。
二人組になり、 自分の名前や友達の名前を探す。
一文字見つけるたびに「あった」と顔を見合わせて喜ぶ姿が見られた。
「か」をたくさん探すなどの競争を取り入れることで集中して取り組む姿が見られた。
 
◎つばめ組と交流
 この頃から少しずつ低年齢児の子どもたちに寄り添う姿が見られるようになってきた。
つばめ組は兄弟が多い事もあり、自分たちから声を掛ける姿が見られた。
園庭で遊んだり室内で一緒に遊ぶ日を設けた事でつばめ組の子どもたちもはと組の子どもたちに
心を開いてくれ、お手伝いを待っている様子も見られた。
それにより「頼りにされている」という気持ちが大きくなり「○○してあげようか」と
目線を合わせて会話出来るようになった。
〇11月 逆さ言葉
 「いか」「かい」など反対から読んでも言葉になる単語を探す。
初めは「いす」「すい」など何でも言葉を逆さにすれば良いと思った子どもが多かったので、
まずは言葉を逆さにすることから始めた。
何度か取り組んだ後に反対にしても言葉になる言葉をグループで考える遊びを行う。
個人では見つける事が出来ない子もグループで取り組む事によって
「その言葉も反対にしたらいけるんや」と発見していた。先月と同様、どのグループが
たくさん言葉を見つけられるか競争にすることで意欲的に取り組む事が出来ていた。
自分や友達の名前を逆さから読んで遊ぶ子どもの姿も見られた。
 
   
〇12月
◎ひよこ組と交流
 ひよこ組とは何度か散歩に出掛けたり、園庭で一緒に集団遊びを行った。
散歩では、転ばないようにゆっくり歩いてあげたり、手を繋ぐのを嫌がる子に
「お姉ちゃんが繋いであげようか」と声を掛けてあげる優しい姿が見られた。
色鬼をした時には色の分からないひよこ組さんの手を取り「肌色は顔の色だよ」と 教えてあげたり、食事までの時間に絵本を読んであげる等、今までと比べると関わり方に変化が見られるように
なったと感じた。
 
 
V期(1月〜3月)
〜 取り組んだ内容と子どもの様子・変化 〜
 
〇1月・2月 硬筆(絵本を見て感想を書く)
 自分の好きな絵本を読んで思った事・感じた事を文字にする。
初めは絵本の文章を写している子どももいたが、徐々に自分の思いを言葉に出来る様になった。
話し言葉を文字にすると「いっしょ」が「いしょ」、「おもった」が「おもた」、
「は」が「わ」、「を」が「お」になっていた。
   
 
◎あひる組と交流
 シェルシアターまであひる組と一緒に散歩へ行った。
よちよち歩きのあひる組さんに歩くペースを合わせるのは大変そうだったが、
葉っぱを踏んで「カサカサ」や鳥を見て「チュンチュン」など言葉を合わせてあげたり、
歩く事に飽きてしまわない様に歌を歌ったりと保育教諭の様に接する姿が見られた。
目線を合わせたり、転倒した時にすぐに手を差し伸べられる子どもも増えた。
(やってあげたい)(一緒に遊びたい)という気持ちは沢山あるが、どのように接すれば良いのか
分からない様子の子どももいた。
   
 
◎不思議探し
 園内の不思議探しを行った。
取り組みとして、個々に園内で不思議に感じた場所を見つけ自分たちで写真を撮った。
「どうして網戸が破れているのか」「観葉植物が多いのはなぜ」
「のんびりルームに絵本の救急箱はどうしてあるのか」「0歳児クラスの絵本コーナーについて」等、
様々な不思議を見つけた。
驚いた事は、子どもたちが写した写真がとても素敵だった事である。
その写真をスライドにして3・4・5歳児の前で発表を行った。
自分の考えを皆の前で発表する時に、言葉を選び発言していた。
〇まとめ
 4月は人前に出て話をする事が本当に苦手な子どもが多く、黙ってしまったり泣いてしまったりと
「恥ずかしい」「自信がない」という姿が目立っていた。自分の思いを言葉にする事も難しく、
保育教諭の言葉を待つ子どもも沢山いたので、子どもたちからの発信を大切にし、子ども同士の
話し合いを沢山取り入れて保育を進めた。
  子ども同士の話し合いでは、自分の思いや意見を発言出来る場になっている様だった。
話し合った事を発表する時間を沢山作り、みんなの前で話す事に慣れ「伝えたい」という気持ちが
見られるようになった。
 またグループで活動を行う事で「友達がいるから頑張れる」という勇気が湧いたり(○○だよ)と
背中を押してあげたりと仲間意識も強くなった。
異年齢児との関わりは相手が小さくなればなるほど楽しくなり「○○してあげるね」と自然に
言葉を掛けてあげられるようになった。
 年齢によって対応の仕方を工夫して、お手伝い後に「ありがとう」と言われる事が嬉しかったり、
頼られる事で自信に繋がっていった。 園外に出る等、様々な行事を通して自信に繋がり、
子どもたちが成長していく様子がつぶさに感じとれた。

  特にミュージックフェアは子どもたちにとって大きな挑戦となり、出来なかった事が出来る様に
なる喜びを感じ、一人ひとりが達成感を味わえた様に思った。
  卒園式で堂々と将来の夢を発表する子どもたちの姿を見ると一年を通して日々の保育が
子どもたちの自信に繋がったと感じられた。