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令和元年度 研究記録・・・
令和元年度 ひばり組・3歳児 研究発表
テーマ『自然体験〜自然に触れよう〜』
〇はじめに
“自然と触れる”事で、“発想力”や“想像力”など様々な力が身に付くと言われている。 また、生命を大切にする心を育むと共に、健康で丈夫な体作りや戸外での活動を通して情緒が安定すれば良いなという思いを込めて、新入園児の多い今年度のひばり組は“自然体験〜自然に触れる〜”を一年間の教育・保育のテーマとした。


<取り組んだ内容と子どもの様子・変化>
≪T期≫
○4月
 
*散歩
4月は海岸沿いでの散歩を中心に楽しんだ。桜が咲き始め、道端の草花に興味を向けて草花の発見をきっかけに新入園児との関わりが見られたり戸惑いや不安がある新入園児の心が落ち着いたりする姿が見られたように思う。
〇5月
 
*ダンゴムシ探し・飼育
男の子を中心にダンゴムシ探しをする姿が多く捕まえたダンゴムシをクラスで飼い、毎日観察を行い子どもたちの興味をより引き出せる様に環境を作った。
・土を薄く敷き、ダンゴムシのエサになる石や葉っぱを入れる。
・土が乾燥しないように数日に一回霧吹きで水を掛ける。ダンゴムシの飼育をきっかけにダンゴムシの絵本や図鑑を読む事も多くなり、“メスはお腹が白い”“ダンゴムシはコンクリートも食べる”などのダンゴムシに関しての新たな知識も増えた。

*千日紅の植え替え
初めての苗の植え替えを行う。
手の小さい子どもたちからすると難しい作業であったが、一生懸命取り組む姿が見られた。

・人差し指と中指の二本の指で苗を挟み、ひっくり返して苗を取り出す。
・プランターの土に穴をあけ、その中に苗を置く。
・優しく土をかぶせ、水を掛ける。

*マリーゴールド・ひまわりの種をまく
・絵本などでマリーゴールド・ひまわりの花がどんな物かを見る。
・種を植える部分を少し掘り、数粒ずつ種を置き、土を掛ける。苗とは違い、どんな物に成長するのかのイメージが付きにくく不思議そうにする姿が見られたが、絵本で見た花が咲く事を楽しみにする様子が伺えた。
〇6月
 
*かたつむりの飼育
霧吹きで水を掛けると、かたつむりが反応したり、かたつむりが動いた後には透明の糸が残っていたりと不思議がたくさんあり、子どもたちの興味がどんどん引き寄せられていた。
かたつむりは菌があると言われている為、子どもたちが触れる事はなかったが、頭を寄せ合って虫かごを観察する子どもたちであった。
   
〇7月
 
*染め物(ヤマモモ)
初めての染め物を行う。
“染め物”と聞いてもイメージが付きにくく、「なにそれ?」「どうやってするん?」といった反応であった。
ヤマモモを煮て、色を出す所・ヤマモモを取り出す所など1つひとつの過程を一緒に観察し、楽しんだ。
散歩でヤマモモを踏んでしまった際に、靴が赤くなってしまった事を思い出し、染め物でも「ピンクになるんかな?」「赤色になると思う」とイメージを膨らませていた。
実際にピンクになった布を見て、「すごい」と大喜びであった。
≪U期≫
〇 8月
 
*夏野菜の成長観察
水を入れたペットボトルに切ったじゃが芋を入れる
→じゃが芋から芽が出てくる。
じゃが芋を切って水に漬けていると、芽や葉が出てきている事を知り不思議そうに見入る姿が多く見られ、いつも見ているじゃが芋の姿ではない事に驚いていた。

*野菜スタンプ
色々な野菜を切って絵の具を付けてスタンプをする。
切った野菜の断面を見て「丸い」や、匂いを嗅いで「ちょっと臭い」など野菜の切った断面図の形の違いや匂いの違いに驚いていた。
野菜を絵の具に付けて画用紙に押すと、野菜の模様が付き横に並べて押す子どもや、空いている空間の所に好きな様に楽しみながら押す姿が見られた。色々な色を用意する事で、自分で選び想像力を膨らませ押すのを楽しんでいる様子だった。それを使って秋に散歩する時に持って行くお散歩バッグを作成する。
〇 9月
 
*夏野菜の栽培 『枝豆』の水やり、収穫
毎日、大きくなっているか気にしながら、数人ずつで水やりを楽しんだ。
枝豆が出来てきている事や葉を触って小さな毛が生えている事に気付き、枝豆の成長を観察する事を楽しんでいた。
収穫では、「お豆、一つ出来てるのと二つ出来てるのとある」と枝豆の成長の違いに気付いたり、優しく大切に収穫する姿が見られた。
収穫した枝豆を給食室で調理して頂き、おやつの時間に食べた。自分たちで水やりをして育てた枝豆を大事に食べ、「美味しい」や「やわらかい」等の感想を言いながら喜んで食べていた。

*生け花
園庭のハーブや苗の植え替えをして育てた千日紅を使って、生け花を楽しんだ。くり抜いた箱の中にオアシスを入れた“フラワーボックス”に自由に生けた。「このピンクの花はこっちにする?」と他児と会話を楽しみながら取り組む姿が見られ、それを部屋や廊下に飾り、保護者の方に見て頂く事で、喜びと自信に繋がっていた様に思う。
*夏野菜の苗植え 『ブロッコリー・キャベツ』
プランターにブロッコリーやキャベツの苗を植えた。
以前植えた千日紅よりも苗が大きかったので、友達と協力し二人の手で植えた。頭で思い描いているブロッコリーやキャベツの形と違う事に驚きの声も多かったが、「大きくなるかな」や「食べられるかな」など、日々園庭に出る度に成長を楽しみにする姿が多く見られた。

*夏野菜の苗植え 『ブロッコリー・キャベツ』
プランターにブロッコリーやキャベツの苗を植えた。
以前植えた千日紅よりも苗が大きかったので、友達と協力し二人の手で植えた。頭で思い描いているブロッコリーやキャベツの形と違う事に驚きの声も多かったが、「大きくなるかな」や「食べられるかな」など、日々園庭に出る度に成長を楽しみにする姿が 多く見られた。
〇10月
 
*秋のお散歩
自分たちで作ったお散歩バッグを持って、様々な色や形の葉っぱやどんぐりなどを拾ったりして散歩を楽しんだ。

*葉っぱの色分け
拾ってきた葉っぱを赤、黄色、黄緑、茶色等に色分けした。わかりにくい葉っぱの色は、他児と相談しながら入れる姿が見られ、秋の葉っぱには様々な色がある事に子どもたちは驚いていた。その葉っぱを使って製作を楽しんだ。幹の周りにみんなで葉っぱを貼っていった。葉の表裏を気にしながら貼っていく姿が見られた。出来た作品を部屋に飾ると、散歩に出掛けた時に見た木を思い出し喜びを感じていた。

*染め物(マリーゴールド)
以前、ヤマモモで染め物をした事を思い出し、その時はピンク色だったが今回はお鍋の中の色が違う事に気付き、不思議がっていた。匂いにも興味を向けて「何か臭いな」と言いながら、お鍋を覗き込んでいた。
〇11月
 
*ブロッコリーの観察
園庭に出るたびに、成長を観察した。
大きくなってきた葉っぱに付いている青虫をみんなで見つけた。
「あっ、ここにおった。」と夢中で探し、教えてくれていた。



*チューリップの球根とビオラの苗植え
チューリップの球根は園庭に、ビオラはプランターに植えた。
深く土を掘ってチューリップの球根を置き、ふわっと優しく土を被せてあげる事を教えてもらい、「これ、何色のチューリップ咲くのかな〜」と咲く色を楽しみにしながら植える姿が見られた。ビオラは優しく苗を取り出し、少し深く掘った穴の中に入れて あげ、優しく土を被せてあげ植えた。「このお花、きれいね。」や「ちっちゃくて可愛いな。」と言ったりして、楽しみながら植えていた。
《V期》
〇12月
 
*ブロッコリーの収穫
ブロッコリーは花が咲き出すと苦くなり、美味しくなくなるという事を知り、大きくなってから…でも花が咲かないうちに収穫
出来る様に「花まだ咲かない?」「大きくなったからもう取れる?」と花が咲かないか気にしながら収穫を待ち遠しそうにする姿が見 られた。
収穫すると、匂いを嗅いだり、手で触れたりして大きく育った喜びを保育教諭や友だちと一緒に共有していた。
このブロッコリーは収穫しても、別の箇所から次々に実が出来る種類のブロッコリーで次々に出来るブロッコリーの成長を嬉しそうに観察していた。
〇1月
 
*綿の種取り
はと組が種から育てた綿を譲ってもらう。子どもたちにも、“はと組さんが大切に育てた綿”という事もしっかりと伝えてから製作に入る。まず初めに出来たままの綿を子どもたちに渡し、種取りを行う。綿を手にし触ると感触で種がどこにあるかがわかる。しかし最初は上手く綿を割いていく事が出来ず「硬い」と苦戦する様子も見られたが、止めようとする事はなく綿の感触を楽しみながら続ける。 少しずつコツを掴んでくると種だけを綺麗に取る事が出来るようになってくる。「また取れた」「綺麗に取れた」と見せ合いながら、長い時間集中して取り組む事が出来た。










*散歩
散歩に出た際には、周りにある自然物の収穫を積極的に行う。どんぐりや松の枝などを食べ物に見立てて遊ぶ様子も見られた。持ち帰った自然物は、今後の製作に使用する

 
〇2月
 
*染め綿・綿を使った製作
種を取った綿を染める。3色の中から好きな色を選び染める。
しばらくの間漬けておき、後日取り出し乾かす。

白い綿、染めた綿を使って雪だるま製作を行う
おおぞらウイーク(保育参観を一週間の期間行う)で保護者の方にも綿の種取りを一緒に取り組んで頂いた事で、園での取り組みをより感じてもらえ良かったと思う。
白い綿を雪だるま全体に貼り、そこから染めた綿と散歩で収穫したどんぐりや木の枝、木の実を使って飾り付けをする。染めた綿でボタンや帽子を作ったり、どんぐりなどで顔を付けたりと、思い思いの雪だるまが完成した。

*キャベツ収穫
最後のキャベツを収穫する。キャベツの収穫時が“てっぺんを少し押して固くなってきたら…“という事を知り、園庭に出ると大きくなってきたキャベツの様子を見に行っては「キャベツ固くなってる」と報告する姿が見られていた。保育教諭がハサミで茎を切り収穫すると、早速「持ってみたい」と言い手に取る。「重たい」と言ったり、少し葉っぱに穴が開いているのを見つけると「虫に食べられてる」と気が付く様子も見られた。収穫したキャベツは給食のスープに入れてもらい美味しく頂いた。
〇3月
 
*リース作り
木のツタと今までに使用した自然物を使ってリースを作る。
ツタは前もってリースの土台の形にしておく。そこに子どもたちが自由に自然物を付けて飾っていく。




使用した自然物…どんぐり・どんぐりの帽子・山ももで染めた布
・千日草のドライフラワー・染めた綿 トンボ池公園で見つけたススキ




*散歩
自然物を使った遊びを展開していく姿が多くなった。 松の葉を利用した引っ張り合いっこゲームや木の枝と葉っぱを利用して葉っぱ回しなど、子どもたち自身が遊び方やルールを考え、子どもたち同士で遊ぶ様になった。

〇まとめ
今年一年『自然体験〜自然に触れる〜』をテーマに自然に触れられる活動を多く取り入れて過ごした。
前期は、新しい環境に戸惑う事や不安な事も多い為、戸外で過ごす活動を多く取り入れた。     戸外に出る事で気が紛れ、不安気な表情が和らいでいく様子が見られた。また、身近にいる生き物(ダンゴ虫・かたつむり)を育てる活動にも取り組んだ。普段何気に捕まえていた虫を自分のお部屋で飼ってみる事で、“何を食べるのだろう” 等の不思議も増え、より知識を深められ様に感じた。
中期・後期では、自然物を使った製作や野菜の栽培を取り入れた。
製作は、自分たちが育てた花や散歩で見つけた葉や木の実を使って取り組んだ。保育教諭 に「今日はこれで製作をします」と全て準備された物のみを使って作るのではなく、自分 たちが携わった物を使っての製作という事で、更に会話の幅も広がり、一つひとつの物を 大切に使っている様にも見受けらた。また、この頃の散歩では、葉っぱの色の変化や咲い ていた花がなくなっているなどの変化にも気付き話をする姿も見られるようになった。
同じ場所や物でも季節により変化するものがある事がわかり、変化に応じて遊びを変える という姿にも気が付く事が出来た。特に海岸沿いの散歩は、季節の移り変わりが分かりや すい様に感じた。野菜・花の栽培では、子どもたちが外に出るといつでも観察出来る場所 で育てる事にした。
園庭遊びの際や登降園時に保護者の方と一緒に観察をして会話を楽しむ姿も見られとても良かったと思う。植物の栽培やダンゴ虫・かたつむりの飼育を通して、子どもは触れて見る事で物を知り覚え、動く物でも動かない物でも生きていると実感出来るのだと感じた。
“自然に触れる”という事は子どもたちにとって、情緒の安定や心身の発達にとても繋が りがあり、大切な事だと感じた。
幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」の中に “自然との関り・生命尊重” とある。自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取る事が身近な事象への関心の高まりに繋がり、好奇心や探求心を持って言葉などで表しながら、自然への愛情や尊重の念を持つ様になるとも言われている。
この一年、園内外の身近な自然に多く触れて過ごす事で、感動したり自然の変化を感じ て好奇心や探求心をより持って過ごす事ができるという事を再確認する事が出来た。