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令和元年度 研究記録・・・
令和元年度 かもめ組・4歳児 研究発表
テーマ『ピアニカ遊び』
〇はじめに
4歳児クラスになり、新しくピアニカが個人持ちの教材に加わった事、担任がピアニカの研修を以前に受講した事、ミュージックフェアでかもめ組がピアニカを使った演目を披露する事など様々な観点から“ピアニカ遊び”を研究テーマとし、1年間子どもたちと取り組んだ内容や成長を記録してきた。担任2人が初めて関わる子どもたちという事もあり、最初は信頼関係作りが必要であったが、新しい活動への取り組みは、比較的スムーズに受け入れてくれ、喜んで取り組んでくれた。 また、ピアニカだけでなく、音楽に関係する様々な遊びも取り入れながら“出来る”“出来ない”にこだわる事なく、楽しくそしてこの先も意欲的に取り組める様に無理なく進めた。


<取り組んだ内容と子どもの様子・変化>
≪T期≫
○4月
 
*取り組んだ内容
全員が前を向いて出来る様に机をたたみ、椅子を台にして並べる。 まず、ピアニカをケースごと持って来てピアニカを取り出す。 次にホースをセットしたりはずしたりケースに直したりを、遊び ながら繰り返して行う。次に“ホースおひざ”“ホース休憩” “ホース用意”の3つの動作を早くしたりの3つの動きをゆっく りと行い遊びながら取り入れていく。“ホース用意”は、口にく わえずあごの上にホースを付ける。
音出しは事前に音出しの時の約束をする。(保育教諭の手がパーの時は吹く・グーの時は音を出さない)次に音を吹いてみる。数名は息を上手く吹き込めず「スースー」という音しか聞こえない。そこでその子どもたちには、ティッシュを口元に持っていき、息を吹きかけてティッシュを揺らすという動作をして、ピアニカに息を吹き込むという感覚を掴ませていく。
次にホースの隣りの1番低い音を“吹く”手の合図で“やめる”“ホースおひざ”を繰り返す。次に反対側の1番高い音を“吹く”同じく手の合図で“やめる”“ホースおひざ”を繰り返す。
“高い音”“低い音”をそれぞれ吹きながら、「何の音に聞こえるかな」と考えさせる。 すると子どもたちから「低い音」は「怪獣の音」「車の音」など「高い音」は「ブレーキの音」「ピアノの音」などの声が聞かれ、”低い音は怪獣の音””高い音はブレーキの音”に決める。
その後、保育教諭がピアノで伴奏を弾きながら「怪獣」「ブレーキ」という声を掛け、それを聞いて吹くという遊びを取り入れていく。
最後は、必ずホースの中を水道水で洗うという約束事を見せ、自分たちでも洗い吊るして乾かし、ピアニカを片付けて終了する。

*子どもの様子
ピアニカを初めて見るという子どももいて、すごくワクワクした表情がとても印象的だった。気が付けば45分もの時間が経っていたが、どの子どもも集中して取り組めていた。また最初に保育教諭の手の合図で約束をしたので、勝手な時に音を鳴らすという事はなかった。簡単にピアニカを吹いて音を出すといっても難しい子どももいた。

〇5月
 
*取り組んだ内容
ピアニカをする前に5本の指を使った指遊びをする。「いただきます」と手の平を合わせてそこに空気を吹き入れて膨らませる。そのまま歌に合わせて「♪おとうさんゆび〜おとうさんゆびトントントン、トントントン♪」指遊びを行う。その時に親指が1番・人差し指が2番・・・を意識出来る様に番号でも指遊びをしてみる。 その後、前回に続き“低い音・怪獣の音”“高い音・ブレーキの音”をピアノに合わせて吹く。また“ホースおひざ”“ホース用意”なども一緒に取り入れていく。

・ドの位置確認 手をパーにした状態で、2つの黒鍵を2本の指で押さえ「うさぎさん」親指を出して 「お父さん」と言い「うさぎのお父さん、こんにちは」でドの音を親指で押さえてみる。

ドを押さえたまま「ホース用意、さんはい」の合図で音を出し、 保育教諭の手の合図で「やめる」を繰り返す。 ドの音で「???」「???」などリズムに合わせて吹く。 次にお母さん指(2の指)でレ、同じようにお兄さん指(3の指) でミを押さえ、それぞれリズムに合わせて吹く。

*子どもの様子
「うさぎのお父さん、こんにちは」では、黒鍵の2本の指(うさぎさん)を離して、ド(お父さん)だけを引くという動きが出来ず、3本とも押さえたままの状態の子どもがたくさんいた。人差し指1本ずつでは、簡単に1音ずつ押さえる事が出来るのだろうが、それぞれの指を使って弾くという事を身に付けて欲しかったので、少し難しかったがこのような指導をした。 しかし、1本ずつ指を分離して動かす事がいかに難しいかを改めて感じた。普段の遊びの中でも指遊び、指先を使った遊びを取り入れていきたい。
〇6月
 
*取り組んだ内容
・ドレミの確認 手遊び「ひげじいさん」を「♪ドドドドひげじいさん、レレレレこぶじいさん♪」など 声を出しながら歌う。「○○グループ」など覚えられる様に何度か繰り返し歌う。

次に、前回と同じ様に5本の指遊びなどを行った後ピアニカに向かい「うさぎのお父さん、こんにちは」でド、隣にレ・ミ・ファ・ソと順に指を動かし て、1つ1つ音を出して確かめていく。
次に「ひげじいさん」を歌とピアニカで吹いていく。
この日の最後にはドの音で「小さな音で吹く」「大きな音で吹く」 を遊びを取り入れながら吹いた。
吹き方や息の入れ方などに気付ける様に何度か繰り返し行った。

*子どもの様子
ドの位置はほとんどの子どもが覚えていたが、この頃から「ピアニカ楽しい」という子どもとそうでない子どもが出てきた。ひげじいさんの曲に合わせて吹けたという事で、喜びや自信に繋がっている子どももいる。終了した後も「まだ吹きたい」と自主練習する姿が見られた。
一方で指の分離した動きが難しい子どもは、人差し指1本だけで吹いている姿もあった。
   
〇7月
 
*取り組んだ内容
7月はピアニカでなく体を使った音階遊びの“ハンドサイン”をして遊ぶ。 体の下(ひざ)の方から順に上に上がって行き、低いド〜高いドまでをハンドサインで遊んでいく。
“ドレミの歌”に合わせて取り組んだり、スピードを変えてみたりクイズ形式にしたりと遊びの中で覚えられる様に取り組んだ。

*子どもの様子
何度か行うと、手の位置を覚えた子どももいる。ドレミの歌に合わせて行う事で、楽しさが増しドレミファソラシドの音階もスムーズに覚えられていた様に思う。
≪U期≫
〇 8月
 
*取り組んだ内容
8月にはドレミファソを使って、簡単な曲にチャレンジしてみる。
“ひげじいさん”の他に“チューリップ”でも歌とピアニカを合わせて吹いてみる。
“チューリップ”では“ドレミドレミ”の部分と、最後の“ミミ レレド”の部分のみピアニカで吹き、その他は声で歌う様にする。

*子どもの様子
曲に合わせて吹ける様になってきたが、同じ音ばかりを吹いて いる子どももいる。少しずつ指の分離した動きが出来る子どもが増えてきたが、指がこわばってしまい滑らかな指の運びはまだまだ程遠い子どもがほとんどであった。
〇 9月
 
*取り組んだ内容
9月には“きらきら星”の曲にチャレンジ出来る様に“ドソドソ”を指番号“1414”で弾いていく。子どもたちの方から「魔法の音みたい」という声が聞かれる。
“ドソドソドソドソ・ラー”で5の指に繋げていける様な取り組みをする。
9月はミュージックフェアへの取り組みもあったので、何日間かピアニカ遊びをする。 またハンドサインやリズム打ちなども行って音楽を楽しむ。その他に“かえるの歌”を音階で歌う。歌いながら「ドレミファ…ミレド」と戻ってくる事を強調して歌い、意識出来る様にする。
次にピアニカでは“1234…321”と指が戻る事を何度も行って指で覚え、次に1の指をミに引っ越しすると教える。同じように“1234…321”の指で“ミファソラソファミ”の動きを何度も練習する。

*子どもの様子
何となくであるが“かえるの歌”に聞こえる程度になり、十分に褒めて意欲や自信に繋げていく様に心掛けた。
その他にも演目である“ももたろう”や“もしもしかめよ”などを吹きたいという意欲的な子どもが出てくる。階名で書いた楽譜を作ると共に、ピアニカにも白テープで階名を貼ってあげると、楽譜を見ながら曲を練習しようとする子どもがいる。1人が「出来た」と言うと「僕も私も」と連鎖していく。
また子どもたちで教え合う姿も見られる様になってきた。
〇10月
 
*取り組んだ内容
保育教諭が弾いた音を真似して同じ音を弾く“音のまねっこ遊び”をした。
音のまねっこ遊びを始める前に、何の音符なのか当てるクイズを行い、ド〜ソまで音を確かめてから始めると、ドやミは分かりやすいのか当たっている子どもが数人いた。
2グループ〜4グループに分かれて“かえるの歌”で輪唱をする。

*子どもの様子
音のまねっこ遊びでは、保育教諭が弾いた様に同じリズムで弾く事は難しかったが、弾く音は合っていた。輪唱ではグループに分かれ、ずらして歌う事や歌い始めるタイミングに苦戦する姿があった。
2つのグループから始め、2グループが1グループと一緒に歌い始めてしまったり、2グループが途中で1グループと一緒の所を歌ってしまう事もあったが、3グループ4グループと増やして援助しながらも最後まで歌う事が出来た。周りのグループに流されない様に大きな声で歌い、順番に歌い終えていく事をしっかりと聞き、歌い終わると「はー」と疲れた様子がありながらも最後まで歌い切れた達成感もあり輪唱を楽しんでいた。

〇11月
 
*取り組んだ内容
ピアニカ台を使用してミュージックフェアで演奏する“ひげじいさん”“かえるの歌”の2曲と初めて取り組む“きらきらぼし”を練習した。

・リズム打ち・音のまねっこ遊び(保育教諭がドレミ→子どもがドレミ) 手のリズムと一緒に「タン・タン・タン・はい」と声を出して初めは行った。 声は同じ様に「タン・タン・タン・はい」と言えるが、手のリズムはバラバラになって しまうため“タン・タン・タン”の声なしで行った。

*子どもの様子
以前から保育室にピアニカ台を置いており「これ何?」「いつ使うの?」と聞き、子どもたちはピアニカ台に興味を持ち使う事を楽しみにしていた。“ひげじいさん”“かえるの歌”は前奏を聞いて曲が分かってから吹くが、上手く吹ける子どもはピアノの音を聞かずに先走ってしまう事があった。“きらきらぼし”は初めて取り組む曲だが、何日か前から音階で歌っていたので子どもたちは弾きやすかった様で形になっていた。
リズム打ちでは、3つの音8つの音が子どもたちはリズムが取りやすそうだった。
リズム打ちを始めると、活動にあまり興味を持たなかった子どもも一緒になり、リズム打 ちを楽しみながら自然と子どもたちが集まる取り組みとなった。

《V期》
〇12月
 
*取り組んだ内容
ミュージックフェアに向けて“ひげじいさん”“かえるの歌”“きらきらぼしの”輪唱を練習する。

*子どもの様子
音階で歌える様になると子どもたちが弾きやすくなる事が分かり、ピアニカを吹く前に “かえるの歌”“きらきらぼし”を11月と同じ様に音階で何回か歌ってから吹いた。
“きらきらぼし”は11月から取り組んだが上手く吹けている子どもが多く、ピアニカが上達している事が感じられた。吹ける様になった子どもが友達に教える姿もあった。ピアニカ遊びが終了し自由遊びになってからも練習する子どもが数人いて、上手く弾けるようになりたいと思う気持ちやミュージックフェアへの期待が感じられた。
ミュージックフェアでは、数か月間ピアニカに取り組み、本番まで期待や緊張しながらも3曲を上手く吹く事が出来て、子どもたちの大きな自信に繋がった様であった。

〇1月
 
*取り組んだ内容
低いド〜高いド・高いド〜低いドを、指くぐり・指またぎをし て吹く。指くぐりの時はお父さん指がお兄さん指の下を通る、 指またぎではお兄さん指がお父さん指の上を通る事を伝えた。
3つの音や4つの音の和音でハーモニーをみんなで奏でる。

*子どもの様子
ピアニカに音階のシールを貼っている事もあり、ド〜ドの音を1音1音指で押さえて弾 いたり、“ミ”まで来たら親指で“ファ”を弾くという事は理解出来ているが、スムーズに指を動かす事が難しく苦戦している姿が多く見られた。何度か繰り返し行うと、上手く出来た子どもが少しずつ増え、指くぐりよりも指またぎの方が指を動かしやすかったのか習得が早かった様に思う。ド〜ドを吹けた事が嬉しかった様で「出来た〜」と笑顔で伝えてくれ子どもたちからは達成感が感じられた。
和音は、初め4つのグループに分け“シ・ド・シ”“ミ・ファ・ミ”“ラ・ソ・ラ”“ソ・ ド・ソ”を吹いてみたが、みんなで音を合わせる事が難しかったので“ド”“ミ”“ソ”“ド”に変えると音が合いやすく、子どもたちも美しいハーモニーに思わず「お〜」という表情になり、「きれい」と言う子どももいた。
音の高い音・低い音を聞き、暗い音・明るい音・楽しい音・悲しい音などと口にする子どももいて、曲調を感じ取っていた。

 
〇2月
 
*取り組んだ内容
子どもたちが弾いてみたい曲のリクエストを聞いて吹く。

*子どもの様子
子どもたちに弾いてみたい曲を聞くと、はと組さんが弾いてい る“メリーさんのひつじ”とミュージックフェアで取り組んだ “桃太郎”になった。平仮名を読める様になった子どもが多くな ったので、ホワイトボードに楽譜を書き、自分で見ながら弾ける 様にし、正しい指使いを意識出来る様に音の上に指番号を書いた。 自由に練習する時間を作ると、ホワイトボードを見ながら自分で音や指番号を確かめながら練習する様子が見られた。
また、今までは指番号通りに指を動かせていなかった子どもや全て同じ指で弾いていた子 どもが、指番号を音の上に一つひとつ書く事で5本の指をスムーズに動かせていた。


〇まとめ

初めは、ピアニカに触れる事が楽しかった子どもたちだったが、馴染みのある手遊びの“ひげじいさん”は一つの音で一定のリズムで弾く事が難しかった。
曲は“かえるの歌”から取り組み始め、みんなで音を合わせて吹く事が難しかったり、バラバラの音が難しく諦めそうになる姿もあった。何度も練習して音を合わせて吹ける様になり、上手く曲を演奏出来るという達成感から、他の曲にも挑戦したいという子どももいた。
また、弾けるようになった子どもは友達に教えてあげたり協力する姿もあった。“かえるの歌”まで吹ける様になると、少し練習しただけでその歌の形になり、子どもたちの成長を感じる事が出来た。
また、ピアニカだけでなく手遊びやリズム打ち・ハンドサインや輪唱も取り入れて行ったので、子どもたちも楽しめた様に思う。
少しずつ段階を踏み、上手にピアニカを吹ける様になった事で、諦めずに最後まで取り組む事が大切であると子どもたちに伝わっていて欲しいと思う。